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お久しぶりです。
前回からバタバタしていましたが少し落ち着きましたので近況を書こうと思います。
先ず渡欧営業の件ですが、、、残念ながら行けませんでした。某上海万博の仕事で度重なる変更が出てしまって、その対応に追われる形で空けられる筈だった4月のスケジュール分に食い込んでしまったため断念しました。次に機会があるとしたら9月下旬辺りかなと思うんですがこれも危うくなってきました、、、まだなんとかして行きたい思いはありますが。
業種シフトの方はお陰様で上手く行っていると思います。まだまだ難点も多いですが、有り難い事に思った以上に仕事を頂けています。
そのうちの一つの案件なのですが、詳細はまだ言ってはいけないみたいなので伏せさせて頂きますが、未発表の幾つかの音源を提供してくれないか、とお声掛けして頂きました。今まで皆さんからお問い合わせのあった「あの曲どこかで買えないの?」と言ったようなものも幾つかリリース出来るかもしれません。
大袈裟に流通に乗せず、パッケージ化もせず、比較的気軽に、安価に、音源を売れる状況が作れないか、そのディストリビューターやアグリゲーターをやって貰えるようなところは無いのかとずっと探していたのですが、今回頂いたお話はその最初の一歩にする事が出来るかも知れません。
ご提供方法としては少々特殊な形態を取ることになりますが、某既存サービス上に乗せて配信させて頂く方法とだけお伝えしておきたいと思います。価格設定も多分iTSよりは安く出来ると思います、現在交渉を進めておりますのでもうしばらくお待ち下さい。
お待たせしてしまった方、発売などを楽しみにして頂いたのにご期待に添えられなかった方、お待たせして申し訳ありませんでした。勿論このサービス用にと長い目で新作も検討しています、今後とも宜しく御願いします、頑張ります!
蒸し暑い日が続きますが、皆様も体調など崩されぬようご自愛下さいね。
ではまた。
また気が付いたら半年くらい間が空いてしまいました、皆様如何お過ごしでしょうか。
この半年の間、心境の変化があったり、それが影響して少し方向性を変えたいなという思いから仕事の内容を変えられるようにと別種の仕事も取れるように頑張っていました。
一般の方から観れば音楽を作る以上はどれも同じに思えるかも知れませんが、いわゆるPOPS/ウタモノ業界と劇伴やCMなどといったようなBGM業界は、隣り合わせではあるのに意外に繋がっていなかったりします。例えばPOPS業界のアーティストさんがCMに楽曲提供するときはタイアップというカタチが主でしょうし、CM専門でやってらっしゃるような方がウタモノCDを出す機会は希なように、業界構造的には棲み分けが出来ているんですね。なので別業種をイチから営業を始めるのと変わりありません。
元々絵に音を当てるといったような事は好きでしたし、一度に沢山のジャンルを求められる事もあり、自分に向いてるなあとも思います。そこで持ち味も出せれば楽しくもあります。
キッカケは、とある某大手企業のCMのコンペに参加しないかという話がありまして、ダメモトでやってみたところ予定どおり落ちたのですが(笑) 最終選考まで残った事でちゃんと聞いて貰えたからなのか、ディレクターさんの方からまた声をかけて頂きました。その流れで都庁の都内案内をするiphoneアプリ(渋谷~六本木周辺のオイシイところを頂きました)、郵政局のサウンド年賀、NTT東日本さん、最近ではマークジェイコブスもやらせて頂きました、まだどうなるか分かりませんが世界卓球の話も頂いてます。事務所契約などの話も幾つか声がけ頂けました(フリーの身分なので条件的にはその殆どが厳しいですが、有り難い事です)。多分自分にとって今はそういう時期なんだと思います。
あまり仕事の話はしないで来ましたし今後も多分殆どしませんが(笑)「最近はこんな感じで方向転換中です」のご紹介がてら。
パッケージ化された音楽の未来はなかなかに難しくなり、単体として捕らえた場合に音楽の必要性は薄れ、今後もなくなりはしないでしょうが全体としての変容を余儀なくされています。
これに伴ってエンタの形態が変化しようとしています。メディアミックスといったような形式的な事ではなく、業務としても複合化が既に始まっています。この時代に対応出来るようにやれる事をやっておきたいと考えています。
ネームバリューがありません、事務所にも所属していませんから営業にも限界があります、オトナの事情が絡んでくると色々と不利な事も多いです。
この業界ではド新人扱いですし、実際何も知らないので、先ずは数をこなしたり工夫をして、またその次へと繋がるように頑張りたいと思います。
同時に海外展開も考えてはいます。海外に出向いて勝負する!という安直なものでもないのですが、日本文化を海外に紹介する、といった様な事を手伝っておりまして、それに伴って王道な雅楽から様相を変えた別のスタイルの提示も要求されているようで、その後半の部分を中心に手伝っていきたいと思っています。
トラディショナル過ぎるからかもしれませんが、日本人自身が「日本はちょっとダサイ」みたいな感覚を持ってる気がするのは僕だけでしょうか(?)。しかしその印象とは裏腹に、海外からみれば異文化過ぎるためか平たく言えば「Cool」(笑)なようですから、もっと自信を持っていいと思うんですね。漫画やアニメといったものは近代アートに近い感覚で認知されようとしていますし、最近では漢字や水墨画も脚光を浴び始めました、歌謡曲がベースであるJPOPもJROCKも細分化すれば世界的には異質な存在です。
先ずは欧米に対して馴染みのある分かりやすい形で提示して心を許して貰い、そこから徐々にジャパンな領域配分を広げ、「日本ってちょっといいでしょ?」というカタチにもっていければなと思います。
僕のプロジェクトではありませんから詳細は分かりませんが、作成した資料や各種サンプルは既に制作や放送局、大学などからも問い合わせが来ているようで、滑り出しは順調のようです。この調子で僕に出来る事は協力していきたいと考えています。
その流れもあり、来月暫くヨーロッパへ営業に行く事にしました。2~3週間で5~6カ国を回りますので(移動日だけで1週間は潰れます!)観光をしてる余裕など無いのが残念ですが( T-T) 企業さんから放送局、制作事務所、映像作家さんにミュージシャン、ソフト開発に携わる方まで沢山の方に会う予定を組んでいます。
UKやドイツの音楽は好きですが行った事すら無いんですね。今まではそれを必要だと思った事はありませんでしたが、ここにきて急に現地へ行ってみたいと思ったと言う事はきっと僕の中で何かがそれを求め始めてる証拠なんだと思いました。そこに住む人を見て、話し接して、空気を吸ってみて、、、時間的に所詮はその程度の事しか出来ないでしょうけど、そこから何かを掴んで帰れればいいなと思います。
ということで次回は強行巡業記を書こうと思います。
折角なので異文化の部分もご紹介して楽しんで貰えたらなと思います!
それでは、今回はこの辺りで
その日スタジオが入っていたので9時起きでご飯食べて12時くらいに出ようかなと思っていたところ、その9時に某主催の担当に電話で叩き起こされる。
- 寝てました?
「いや、まあ寝てました、はい。」
- 実はですね、バタバタしすぎていてオープニングの発注忘れてました(テヘっ☆
「そうなんだ、大変だねえ」
- アリモノでいいので30秒ほどのやつ御願い出来ませんか?
「え・・・。いや、いま自宅だしこれから出るんだけど・・・。
朝まで帰らないと思うけど、いつまでに必要なの?」
- えっと今日中じゃないと駄目なんですよね、、、
アリモノでもなんでもいいのでなんとか御願いします!
「てか自宅だってば(笑 機材も何もないんだけど・・・。」
- ちゃちゃっと御願いします!
「ま、、また電話するよ、、、(ガチャ」
とりあえず急いで着替えて駐車場に。車に積んでるCDとにらめっこした後3、枚抜き取ってさあどうしようかと。選択肢は8曲くらいしかない。自宅なので機材も無い。とりあえずは電話を。
「あのさ、車にCD積んでたんで何曲かあったけど、どういうのにしたいの?」
- 最初静かなかんじで、あとはドーンとノリノリで!
「そんな曲無いし、、、」
- その曲を適当に切り貼りで駄目ですか?
「うーん、、、がんばる、、、ってか2時間しかないし機材もないんだけど(笑」
- 頑張って下さい(笑
「う、、、うん」
- あ、あと歌は入って無い方がいいです!
「う、、、、、、、うん(苦笑)」
freedomのエレクトロ版があったので、確かlivetuneさんがエレクトロな感じだったのでこのジャンルは大丈夫だなと。間奏のところが使えそうかなととりあえず取り込み。続いて「静かなところ」に当たる部分を考えてみたけど暗~い曲ならあったけどどう考えても『ミクフェス』って感じじゃない。よくあるドーンって効果音のあとPAD系でルート取って緊張感を煽るみたいなのをするにもダークすぎるというか格好いい方向なのでこれも違うし、それ以前にそれを作る環境すら無い。
部屋を見渡してみると、itunesのジュークボックスとして使っている彼女のMacBookが。確かこれにシャレでLogic7入れた気がする・・・。あった;;
これにベッドルームにあるMacのキーボードとマウスを引っぺがしてくる。これでなんとか戦える。
xign は こんぼう を てにいれた!
確か持ち歩いてるUSBメモリにキーコマンドセットがあったな・・・。あった;;
xign の すばやさ は 10あがった!
問題は音源だ、、、何もない。あ!・・・そもそもドングルは仕事場だ、なんだよー起動出来ジャン・・・。 と、MacBookの中身を見てみるとLogic8が!(ドングル要らない)そっか、これもシャレで入れてたなあ、ってことは付属音源使えるな・・・せーふ;;
xign は おんげん を てにいれた!
とりあえず立ち上げ。テンポを合わせてから頭をトランケートしてどこでも切れる状態にする。駄目だろうなと思いつつES2と格闘、イントロのパッドを作って、Logic8のSE集から幾つか効果音を抜き出して合成、このサンプルが無駄にサラウンドファイルなので2chに変換。やっぱまだダーク過ぎる。
もうこれは今作るしかないと。考えてる余裕もないので(@1時間)とりあえず綺麗に聞えるってことで最初に浮かんだのが「ヒーロー」のイントロフレーズ。これをマウスポチポチして打つしかないなと・・・。とりあえずアコギの音色を立ち上げて作業開始。
言うまでもないけど、、、機械っぽい。「如何にも打ち込みです」みたいな感じに。
ため息とかつきつつおもむろにitunes用のHDを覗いて、使えそうな曲が本当に入って無いのかもう一度みてみる。まああるにはあったんですけど、そもそも160k/AACなので うーん・・・。とそのとき、あれ?今「Steinway」の文字が見えたような見えなかったような。気のせいかな、うん、寝起きだしね。
そういえば、うちの彼女は昔ピアノを習っていたらしく、たまに弾くのに音がショボ過ぎて面白くないというので、Logic7をジュークボックスMacに入れて弾けるようにしてあったのです。これがこんなところで役立つとは。
xign は ごうかなピアノ を てにいれた!
え、弾けるように?カシオトーンがあった気がする!
収納を散策、、、(後光が差しているようにみえる)救世主カシオトーン様現る。
車に戻り、セッティングで用意していたMidiケーブル(超長い)を出してきてAudioPhileUSBにセット。
xign は かしおとーん を てにいれた!
と勝利のガッツポーズも取らないうちにペダルがない事に気付く。
くっ!ガッツがたりない!
「まあ鍵盤無いよりはマシだよね!」とか根拠のない励ましを自分に送り、作業を始めると、こんなペダルありきの曲でかえって弾きにくいという事実に直面したため、カシオトーン様はただのステップ入力デバイスに格下げされる。
ざっと打ち込んだ後、サスティンを手付け、データ修正、時間の許す限りテンポチェンジ情報を入れて揺れと〆のリタルダンドの調整。
もうこれでいいわ、てかもう時間的に事実上終了(15分前)ってところでピアノをバウンス。プレイバックして冷静に聴くと、
「これはないわ、使えない」、、、。
とりあえず電話を取り、出先へ事情を説明、1時間だけ猶予(世間的には遅刻というらしい)を貰う。
この段階ではもう引き返せないので、波形編集などなどを考えるとあと15分くらいで出来ることと言ったら音加工だけ、音で誤魔化す方向に。
とりあえずEQ、「これはポップス的なベタピアノです!断じて綺麗に弾いた感じじゃないです!」を強調するのに軽くコンプ、ハイ強調、深めのリバーブをかけてもうこれ以上は誤魔化せないってところでfreedomとくっつけ。切った場所が良くないため30秒で終わるキリのいい箇所が見当たらないので、後半の間奏に急遽差し替え、ブレイク部分を使って終了するため後ろを綺麗に切り落として、さっき作った「ドーン!」を付け足したが、これでは締まらないのでさっきボツにしたパッドをここに持ってきて、まだ少し寂しいので別の音色でテンポシンクするスクエアLFOでフィルタのレゾナンスを大胆に開け閉めする音色を作ってそれをステレオディレイで飛ばし、「ピシュン、ピシュン」ってのをレイヤー。
スタジオコーストでは何回かやっていてハコの鳴りも分かってるので、ヌケる音でズーンと来るようにローミッド帯域にサイン波を入れてルート強調。まだ迫力が足りないのでパッドの方にベロシティ半分で5度とoctを足して、いいか悪いかを判断する時間もなくバウンス。音決めでEQ、空間処理、これをフリーズ(テキトーMacBookにはパワーがないので事あるごとにバウンスかフリーズ)。
イントロピアノ、freedom、ドーン、パッドでズーンのレベルをざっととって、ドーンをピークにして3~6db落ちにfreedomのピークが来るよう設定(ハウスのコンプがかかることを前提に、ドーンにインパクトを持たせるため、力量は倍~1.5倍程度に)バウンスして完成。
これをUSBメモリに投げ込んで、WINに入れ、サウンドフォージでトリミング、そのままftpに投げ込んでUSBメモリにバックアップを取り、出発。
出先で鯖のURLをメールして終了;;
xign は くさったしたい を たおした!
正直満足いく出来とか以前の問題でしたが、本番でピアノが流れて「ワー!」っと歓声が上がり、freedomのパートでペンライトがビートに合わせて振られ、ドーン!でもっと凄い歓声があがったとき、やって良かったなと思いました。
そのとき隣に無茶振りをしてきた某主催君が立っていたんですが、思わず握手してしまいました(本人は歓声を見てイベントの成功が見えて喜んでいただけでしょうが)。
ライブ終了後に、この曲に動画をつけてくれた森井さんにお話を聞いたところ、どんな曲が来てもいいようにと可愛めの素材と格好いい素材パートを用意はしていたものの、普通に考えて両方を同時使うのは難しいだろう、その場合片方だけで素材は足りるのだろうかと悩んでいたらしく、曲を聴いてから「これなら両方使える!」とかなり喜んでくれていたようでした。しかも格好いいパートは無理を言って他の方に素材を御願いしていてボツにするのは忍びないと思っていたのでむしろ助かりましたと感謝までされてしまいました。
なんでもやっておくものですねぇ。
DVD化の話もあるようで(?)御覧になる機会があれば「これが無駄に大変だったやつか;;」と一緒に泣いて下さい。
前回分と合わせて今回の総評になりますが、こんなに和気藹々とした現場はナカナカないんじゃないかなと思うくらいスタッフさん、ディレクターサイドの方々、みんなほんといい方々ばかりでした。
皆プロ根性剥き出しで「NO」も「無理」も一度も聞えてこなかった、代わりに笑い声が沢山聞える本当に良い現場でした。きっとあの場の空気を壊したくないとみんなが少しずつ努力された結果なんでしょうね。僕らサイドも負けじと立派なバンドが組めてた気がします。
終わった後、今回携わったスタッフ全員(ホント全員)が笑顔を見せていたのが非常に印象的でした。
先日行われた「ミクフェス'09(夏)」にマニピとして参加してまして、色々と面白かったので少し報告しますね。
結果報告だけしますと、主催も驚くほどの反響で問い合わせ殺到、ゲスト枠やVIPにも制限がかかるほどだったとか。平日夜の台風という悪条件の中、来場者2300人程度、ニコ生視聴者も2300人程度に書き込みも13万件(!)と5000人以上の方が観ていたようですね。会場の熱気はそれはもう凄まじかったです。
レポの方はこちらででも、参考にドウゾ。
http://ascii.jp/elem/000/000/456/456009/
では先ずあそこで何が起きていたのか、大枠のシステムを説明しますね。
事前にSEGAさんの方で各曲に合わせたミクのモーションキャプチャーをし、モーションデータの整理や間引き(音楽で言うところの手クオンタイズですね)された黒バックの動画があがってきます。これを映像演出さんが動画の状態で編集作業と演出に合わせたエフェクトなどを加えていき、尺に合わせた動画が完成します。
僕の仕事はここからですね。今回は「いわゆる」マニピでは無いんですけど(この辺りはあとで説明しますね)、プロデューサーさんやバンドさんが用意した打ち込みのパートを動画とシンクさせて走らせてました。
これを映像サイドさんの方に流し、プロジェクタで投影、それを特殊な透明パネルに映写して黒抜き部分が透明化されて映る、のような仕組みになっています。
映写技術に関しては専門家じゃナイので詳しくは分かりませんし聞いてません!ってか多分企業秘密なので知る由もありません!
・セッティング
事前に「これ使えそう?」と簡単な仕様を説明された某映像再生システムとPT、これにバックアップセットとしてPTをもう1セットで行きたいと言われました。
1) PTはMTCを2系統出せない
映像システムが落ちたら困るよね、ってことで完全独立な2セットを提案したところ、OKが出ました。とりあえずそこまではよしと。
普通に考えればMTCは映像分を出せばいいので1系統で問題ないのですが、バックアップシステムにも同じ信号を流せないとなると2セット同士はシンクしませんからこれはアウトですよね。
PT→映像【メイン】
↓(←ここがアウト)
PT→映像【バックアップ】
実際似たようなセッティングの現場でも原始的に右手と左手で同時にスタートボタンを押す、というような事があるみたいなのでリハで何度か試してみましたが、やはり手でやるとどれだけうまくやっても微妙~にズレるんですよね、それも音符レベル(64分とか)で酷い事に。一度失敗するとズレっぱなしなので3曲つながりになってるものなどはその後どの曲で落ちても駄目なので危険過ぎます。
それでもプロのドラマーさんなら気合いで立て直すのでしょうけど、ドラマーさんの力量に全てを預けるのは流石に無責任だと思うのでこれは却下ですね。
ってことで機材を増やすと問題の元にはなりますが、ここの対策は仕方なくMidiパッチベイ(I/Fではなく、古き良き方)で。
2) PTはシンクを外して自走出来ない
これも大きな欠点ですね。MTCを受けて同時スタートしたものの、メインが落ちた際にMTCの送信も止まるわけですから、自走出来なければ同時に停止するのでバックアップの意味を成しませんよね。再生後にバックアップ側の同期を切ったりMidiケーブルを抜くなどのハードテストをしたところ、やっぱりどれもアウトでした。
ここでLogic様の登場です。この子、このような場合でもちゃんと自走するんですよね。自走後は単純なオーディオシンクに戻るだけなのでその後もズレる事はまずありません。スタートでシンクミスが起きても再シンクし直せばいい事には代わり無いわけなので安全性も増します。更なる保険としてBigBenからクロックを同時に渡して。
再生中にソングを再ロードしても、立ち上がった瞬間にシンクして走り出す様はちょっと圧巻です。
3) バックアップをLogicにしたせいで作業二重苦
PTを2セットにする最大の恩恵は、後に説明します刻々と修正される大変なセッションデータをそのまま共有して使える点にあります。これが片方Logicに変わる事で、一箇所の修正で全部やり直しなんですね・・・。
さっと作ってすぐOKが出て、ヒマを見て本番までにソング作成+トラブルチェックリハくらいでも作業量が倍になって大変なんですが、全てがかつかつで動いているので、変更が一つ入ることで3倍、4倍の労力を強いられます。でも安全には代えられないので、、、もうここは仕方ないですね。
・音加工、セッション組
PAさんの方から予め8chの空きを指定されていましたので、PTHDでセッションデータを作成していきます。それを受けて、事前にクリックトラック込みで8ch以内にオケを纏めたものを各アーティストさんに提出して貰うよう通達して貰ったのですがやはり思い通りにはいかないもので(笑)、トラック数の多いオケ、クリックトラックが無かった、モノ・ステになってるトラックがあったりで、兎に角時間がないのでこちらでこれらを整理する作業から始めます。
VoとChoが既に2mixになってしまっているものはもうどうしようもないので(PAさん的には迷惑な話でしょうが、むしろこうやってアーティストさんが気に入ったバランスを尊重した方がいいのかな、とは思います)オリジナル曲が入ったCDを聞きながらリズム隊やロングトーン楽器、和声補完楽器、などなどのプライオリティをつけて簡単にまとめていきます。後で抜き差し指示やPAからバランス変更指示が来るかも知れないと思ったものに関しては、出来るだけデータをスリムにしてバウンスせずにアウト振りだけで処理しています。
ご存じの方も居るかと思いますが、ハウスで鳴らす際に主要楽器がPANされた状態になっていると、例えば右側のお客さんには五月蠅く、左のお客さんには聞こえない、となってしまうので、そうならないようモノ出力が基本となっています。ピロピロ鳴っているシーケンスが左右交互PANしたり、広がりのあるPADでステレオ感を出す、といったような場合はそのままでもいいのですが、、、こういった偏ったパンニングは放っておくと色々と問題が起きます。
1) PAさんが困る
作成意図は理解しても放置は出来ないので、仕方なく卓でセンターに寄せることになります。卓によってはパンローの問題で他パートと比べて意図しない音量差が出ちゃったりもしますよね。
2) 音がおかしくなる
モノステで固定された2mixのPANを下手に弄ると(エフェクトがかかっているなら尚更)位相が狂ってしまって手がつけられなくなります。ステージPAさんがモニタに返す際(勿論モノ)音がおかしくなって大変デス。
今回取った手段は、ステレオを強制解除、PAN振りされている側を残して音の小さい方を削除。強制モノファイルを作ってから元の意図に合わせた音変えを施します。例えばステレオギターで「壁」などを作っていた場合、ショートディレイでステレオを作り直し、音量を元のバランスに下げる、などといった具合ですね。センターモノでいけそうなものは真ん中に定位し直す、と言った具合です。
あとはパートバランスですかね。Supercellさんの曲で弦パートがあったのですが、バンドにはちゃんとカルテットが居るので本来は消していいところなのですが、バンドで演奏するとなるとどうしても人数感が足りなかったり、ピンマイクで音を拾って出し直す際に音量限界があるために負けてしまうので、どうしましょうかとRyoさんの方に相談したところ、後ろでウッスラと流すよう指示がありました。
ただ渡されていたのがレコーディングの際に使用したセッションファイルで卓ミックスされたセッションですから、帯域処理どころかフェーダーがユニティになっている状態のものなので、バランスの方も含めて僕の方で処理しちゃいます。打ち込みで音がドライすぎるので空間処理も施しました。
・音加工(2)Vo
ミーティングの際に渡されたステージセッティングを見てボーカルマイクが配置されていたので「なんでスタンド要るんですか!」って思わず突っ込んだのですが、数秒間が空いてから爆笑になりました。
それくらいバーチャルボーカルのバンドってのは誰もが不慣れで奇妙で、色々と大変なようでした。
中でも忘れられないのが、照明+音響でのリハをしている際、パネルに映るミクとチカチカ光るライト、しかしステージには誰もいない、という光景で、これは正直異様な光景でしたね・・・。
それはさておき、次は歌の音質ですね。初日のリハで聴いた際に「これはまずいな・・・」と思いました。
ミク曲を聴き慣れてくるとこんなもんかなあと流してしまいがちですが、ミクの声は所詮生成されたものなので、倍音構成が単純で耳につく感じがしますよね。これ、スピーカーやヘッドホンでもギリギリセーフ(かアウト・笑)なのに大音量で鳴らし、しかも2時間半もお客さんに聴かせ続ける事を考えると相当キツイものがあります。また、生バンドがあると音量感やパワーで負けてしまうので、Voパートとしては音量を上げなければならず、上げると耳が痛いわけで、、、とツボにハマってしまうので大変です。
なので僕の方で少し手を入れてみました。時間もないので全部は無理ですが、バンドさんのものを中心に多少聞きやすくなるように倍音を増やして多少なりとも自然に聞こえる小細工を施しています。
先ずはエキスパンダを使ってわざと倍音に乱れが出るよう崩してしまいます。これをアウトボードに突っ込んで(今回はSSL/4000GのEQとAPIのプリを使いました)サチュレーションさせます。サチュレーションされたところは当然波形が乱れて倍音が増えますからより自然な音に近づきますよね。これを再コンプ(ルネコンプ:オプト、ウォーム、ゲインピーク気味)、再リミッティング(1176、4つ押しレシオ、アタック早め、リリースビート依存、スレッショルド2~3db程度引っかかり)して、ゲートと合わせて痛いトランジェントを取りつつ、リミッタの入力調整で天井にも突っ込んで更になめらかにします。
勝手なことをするとアレなので、事前に仕込んだものと元のままのものを空き時間にPAさんと主催側に聴いて貰い、全員一致で加工済みの方が扱いやすくヌケもいい、耳が楽(笑)とのことでそのまま採用しました。
会場に来られていた方、少しは聴きやすかったでしょうか?
・クリック問題
これには相当悩まされました。
事前にクリックを貰っていたバンドさんでそのまま本番まで行ったところは問題ないのですが、困ったのはリハやゲネ、本番直前に「頭にあと4欲しい」「リタルダンドの部分にクリックつけて」「やっぱテンポが戻る前の部分全部に新テンポのクリックを8つ追加して」というような要望です。
普通に考えれば30秒もあれば出来る作業なのですが、ここで今回の難解なシステムが邪魔をします。
今回はあくまで編集された動画をベースにセッションデータ全部をリップシンクするように一括移動して並べているだけです。演出上、曲間にMCが入らないものに関してはその映像データが2曲、3曲分繋がっており、例え元の曲データにテンポ情報があったとしても合体前なら簡単に触れるものが、複数の別セッションが並んで一つのソングになってしまっている状態では、曲が時間軸ベースに変更されてしまっているため、この時点でテンポに関連する対処はどうしようもありません。一緒にテンポチェンジ情報を移行なんてしようものなら編集の際にとんでもないことになります。ってことでクリック波形のオーディオを切って力技で手で合わせるしかなくなるわけですね。
当然のことくDAWが触れるプロデューサーさん達からしてみれば「ユー、クリックくらいちょちょいと貼ればいいじゃん」「曲全部を後ろにズラせば頭に空白作れるじゃん、ユーそこにクリック入れちゃいなよ」(ジャニさん(c))という思いがあるのも当然だと思うので、まずはシステムの説明から始めて、やりたい事は分かるし「普通のソング」なら出来ることが今回は出来ないんですよ、、、ってのを一生懸命説明して、理解して貰えたらそのまま、それでも必要となったらもう無理にでもやるしかないので、リハ合間の時間と別日(他の諸々の追加対応も含め三日費やしました)を使って根性で作ります。波形の移動単位がフレームのみでなかった事だけが救いですね(だったらもう不可能でしたが・笑)。
次に曲頭を開けるくらいは簡単じゃないの?と言うのもあると思います、だけどこれもまた色々と難しいのです。なぜかを説明するには映像側のシステムを把握して頂かないと難しいのですが、直接の原因はMTCさんの日付越えです。
大抵においてオフセットを1分以上(要は前に空きを作って後ろに倒す)に設定しておくと思うのですが、諸々の事情と仕様とで0時0分開始を強いられていました。なので仮に1秒から曲が(映像が)始まるとして、これに8前からクリックを追加して下さいと言われると、前日の23時59分58秒などからのスタートすることになります。
メインセッションは自分自身が吐いてるMTC信号なのでそれでもいいのですが、バックアップ側の予備システムは「23時59分59秒29フレーム」までくるとこの日付を超えられずに、今日を飛び越して「明日の0時0分」に飛んでしまい、要はシンクが切れてしまいます。出来ないでは済まない、諦めたらそこで試合終了ですよって安西先生も言っている事ですし、セッション作成も実際の再生もその場凌ぎの力業で解決したのですが、基本的にはアウトな仕組みなんですね。
次に簡単そうなのは2曲目と3曲目の間、つまり3曲目の頭に足す、といったような場合ですね。
これも映像に同期している事で3曲目を後ろに倒すと言うことが出来ません。映像側でこの空白を開けるだけのために全曲分レンダーし直して貰うことになります、、、。
今回、どれくらい切羽詰まった状況だったかと言いますと、ゲネ当日の朝に映像データを貰って間に合うか(間に合わないか・笑)のところを、結局映像の方も直し直しのオンパレードを強いられていたようで遅れに遅れ、夕方に今すぐどうしても必要な分だけ頂いてその日のリハは臨時対応、レンダーも追いつかない状態なので現場にPC持ち込みまでして対応してらした様子なので、、、そんな中「クリックに頭をつけるためにこの3曲分全部やり直して下さい」なんて死んでも言えませんよね(笑)
そこで先ず頭に浮かぶのは、「全曲切っておく」ことですよね。これならテンポ情報を持ったままだし編集も自由自在、速対応可能なのですが、、、セッションを一つ立ち上げるだけならいいのですが、映像側も同じ操作が必要で、これがバックアップ含め2セット動いていますから4セット分を曲ごとに変更するのは時間がかかりすぎるために演出側でストップがかかりました(だから繋げることになったようですが)。なのでセッションやデータ変更していたのはMCなどが入って時間が稼げるところだけですね。
本当はクリックの音自体を変えて欲しいとか(上のことを理解して貰えたらこれが如何にマズイ状況かお分かりですよね・笑)、要望はまだまだあったのですが、もう多すぎて書くのが面倒くさいので!割愛します。
兎に角色々と大変でした。
てなわけで簡単に説明してみましたが如何だったでしょーか。
この他にもオープニングは僕の曲だったりして、これを作るのも大変だったんですが、、、
これはまた次回に。
ご無沙汰してます、もうお忘れでしょうがxignと言います、よろしくお願いします。
最近は細かな仕事や諸々なデモ提出、コンペだなんだで手一杯の毎日です。雑用もたっぷりで、今年の夏も僕のカレンダーは赤い数字が見当たらない感じです。
せめてなにか少しでも実るといいなあ。
映画大好きな僕ですが(ドラマチェックは怠ってませんが・笑)最近全然映画観てないんですよね。
このところ空き時間は全部と言っていいほど「AION」っていうオンラインゲームに割いてまして、これが結構楽しいです。
兎に角昨今のMMOにならってなんでもかんでも手軽なんですよね。たった30分でも1時間でも色々やることがあるし、ついつい立ち上げてしまいます。休憩時間は専ら採取で気分転換。
レベルもっと早く上がんないかなー・・・。
ご心配をおかけしたHouseNationの件ですが、発売が3ヶ月遅れた模様で再選考になるようです。今回は色々ありましたが、曲自体は自分なりにせいっぱいやったつもりだし、落ちたときはもう潔くハウスは辞めようかと思っています。
同じ4つ打ちでもトランスよりも音楽的に遊び甲斐があったし、エレクトロニカの要素はエレクトロの方で遊べるので色々出来て楽しかったんですけど、、、認めて貰えないものはもう仕方ないですからね。
形を変えて、用途に応じて、今回学んだ事を今後に活かしていければとは思っています。
そんなこんな日々の報告でした。
また何か話せるような事が決まりましたらお知らせに来ますね。
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