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xignからあなたへ、ちょっぴり放つサイン。 気軽にレスとか残してって下さいねえー
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では早速ですが今回は「reason」です。
先にお知らせしましたようにその後大幅な修正を加えましたので、元の原稿に加筆修正してあります。


・バージョンその1の1

この曲は原曲と言いますか、本当はR&Bな曲として用意していたのですが(このバージョンもそのうち完成させたいと思います)、ハウスでウタモノが急遽必要と言うことでテンポを上げてリアレンジしてみました。
今回のタイスケからの注文は「ラッパとかストリングスがガンガンが入っていて五月蠅いもの」「展開が大胆、トランスっぽいもの」「ジャンジャカピアノ」「ボンゴやコンガを使ったトライバルなパーカッション」と言った感じでした。これらキーワードから、ファンクを基調としたものに最近のハウスの傾向を織り込んで作っていくことに。

先ずはアレンジですね。一番の問題はジャンルを跨いだリズムの調和部分で、メロが元々ブラックなものですから、これをアップテンポにするにはファンクを基調とするのがベストだと判断しました。ですが、今度はそれを強調しすぎると16ノリでしかも引っかかりが多すぎて4や8でノレず、メロが流れません。
それを補うためにメロディアスで流れるような弦パートを考えるわけですが、これはディスコ調なラインを使えばいいので合わせるのはそんなに難しくないんですが問題なのはここからで、先ずはジャンジャカピアノが邪魔をします。
リズミカルなピアノを使うにあたって一番簡単なのがファンクのリズムに合わせてしまうことですが、今回の注文はそういうものではないので、両ジャンルの共通タイミングを考えながら整合性を取っていきます。
更に問題になるのが管のパートで、これは弦のパートを抜き差しのセッションフレーズにすればいいのですが、ディスコ調を強めすぎると存在価値が無くなり、「そもそも弦だけでいいじゃん」と言うことになるので、また引っかかりの要素が増えますが若干ラテン(サルサですかね?)なエッセンスを加えていきます。
ここまでをおさらいすると、4/8/16が均等ノリなドラム、ファンク調だが16が強すぎないベース、4ノリで流れる弦、管はバランスを取るために8で乗るパートにしたいが難しい、こういう感じになります。

スピード感はボンゴとコンガメインのパートでシンコペーションを組んで速度感調整が出来ますが、聞き取り易すぎると楽器が死んでいき、このパートが扱われるランクとして和音楽器と同等であるのはおかしいので、、、どれもが出しゃばりすぎず引っ込みすぎず、にしないと全体として聞いたときに意図したノリにならないので、音量バランスの前に音質面での譲り合い(f特的に)、音量のバランス、こういったものが重要になってきます。

次は和音楽器ですね。これだけ楽器数が多いと前述のように音質面も響きに影響するようになるので元となるサンプル音源の選択が難しくなり、ハードルもどんどん上がっていきます。パッシブなフレーズにするために弦に関しては音色の選択肢がなく、音自体はショボイですが立ち上がりの良い音色が多いローランドのSシリーズのサンプル(EXSにコンバートされたもの)を使用します。
いつも思うのですが、豪華で美しいオケ用のサンプルは腐るほど存在するのに、なぜポップ弦で使えるようなアタックの速いライブラリはないんでしょうか・・・。マルカートやガッツリと弾くアジタート、レガートからの任意変化するトレモロやビブラート、最低限これくらい出来ればいいのですが、既存の高級ライブラリはどれもこれも立ち上がりが遅く、ポップスなどで使えるようなパワーと力量を感じるアジタート音色がないデス。
各種メーカーさん、意外と需要あると思うんですがどうでしょうか。

管はいつも愛用しているKickAssBrassなんですが、サンプルベースだと色々と使いにくい中これまで我慢して使ってきました(特に演奏切り替え面)。ですが今回は思い切ってVST版のプレイヤー付きでWINベースに乗り換えてみました。住めば都、Logic上でなくなった分、専用プレイヤーの使い勝手の良さもあってナカナカでした。
なんでこれを使っているかと言いますと、上記弦の理由と同じなんですよね。KABはポップスや例えばサルサ、ポップオケといったようなブライトで立ち上がりの速い音色や奏法が多く、使い勝手がいいんです。こういった生サンプルのライブラリは沢山持ってますが、結局音質面を度外視してもこういった実用性(音質より演奏の方が大事ですからね)を重視してついつい使ってしまいます。
パートに関しては基本は弦との抜き差し、ラインのボイシングの手伝いといった役割でしょうか。縦(ボイシング)と横(リズム)を注意しながら組み立てていきます。管は弦と違ってそのパート自体が持つ積み方の束縛が厳しめですから(octや4や5th感)、それを保ったままフレージングし、且つボイシング参加、細かな譜割りが利く楽器ですから打点を注意したリズム参加、面白いですが色々と面倒です。
空間処理は4人がゆったり入れ、リフレクションはそれなりにあるブースで録ったという想定になっています。

次はピアノですが、ジャンジャン弾きということで、ただでさえ五月蠅いオケになりそうなのでそれなりに目立つものが必要です。今後の事を考えて最近M1のピアノのライブラリを作ったところでしたので早速使ってみました。M1と元サンプルが同じで、且つメモリも多く使用している豪華版のP3なんかを持ってたりするんですが、「いわゆるM1ピアノ」とはやはり違うんですよね。レイヤーされたハイのエッジにあるグロッケン風の金属音が不足していたり、M1内蔵の独特なコンプがかかって初めて「アレ」になるので、やはりオリジナルの方が使い勝手もいいですね。
問題があるとすれば、元音が前代的なものですからマルチサンプルになどなっている筈もなく、細かく積んだ音だと音が潰れてしまいます。ボイシングするにあたってルートと3に挟まれた9thや、強引に7を下に回してルートとぶつけると言ったこと(2度で当たる)は避けないとぐしゃーっとなってしまいます。音色から和音に制限が設けられる形ですね、珍しい事ではありますがちゃんと考えないとあとあと面倒な事になります。
フレーズを歌わせた場合でも、強調するため下手にトップをoct弾きにしたりすると、音色の問題で箇所によって位相がおかしくなってかえって引っ込んでしまうこともあるのでこれもxです。書けばキリがないのですが、とりあえず沢山の足枷を抱え込むことになりました。

弦や管も含め、ローミッドで相当喧嘩するので分散が必要です。管に関しては4管で積んでるんですが、トロンボーンとアルトの下2本はパン振りし、コーラスをかけてボカし、ペットのエッジはハイを立たせてギラギラした感じに纏めるとして、弦はあんまりローミドを切ってしまうと胴抜けして厳しくなるので、ある程度残しピアノ側で遠慮して貰いました。どのみちピアノはポイントポイントで立つ音色にならなくてはいけないので、特徴を消さないようあまりハイは削れ無いわけですから、ベースと喧嘩しないような位置までカットして、空間処理含めそれに見合ったトリートメントをしていきます。

和音楽器の役割分担が決まってきたところで最後はBsです。今回はファンク系のフレーズと言うことでどうしても生のエレベにしたいわけですが、そんなに難しいフレーズをささっと弾けるほどベースは得意ではないので(笑 これも生シミュレートで打ち込んでいきます。今回はTrilogyのフィンガー弾きエレベです。
この子は良くも悪くもレンジが広く音が太すぎるので、リアンプがてらキャビネットからのマイキングシミュレーションも踏まえてトリートメントしていきます。少々ゴリゴリしてた方が音も立ってくるしそれが許されるフレーズなので、Sansに通して50アンペ程度のアンプから57で録った音を想定しています。ダイナミックスは楽器→コンプ→EQ→アンプで天井(サチュレーション以上に歪ませるので)→キャビ→最後に57のダイアフラムでハリを出すためのピーク、といった感じになるようにしています。最終的につるっと録音してしまってミックスの段階ではオーディオで貼り付け、微調整EQ→コンプで出来上がりです。
マイク録り想定でハコ鳴りやなんかの音がしていますから、改めて空間エフェクト的なものは一切使っていません。時間があれば本当にスピーカーから出してマイキングするんですが、シミュで想定した音がしたので今回はそのままで行きます。

ドラムはf特的にこれらを縫うように配置するのですが、キックのスペースはよしとしてもう殆ど空きがありません。

一番五月蠅いパートの全体像が実際に音となって出来上がってきたのですが、やはりどう考えても五月蠅いです・・・。ボーカル曲なのでそれなりに立ってもらわないといけないんですが、和音楽器がかなり厳しいことになってます。正直何度も管を撤廃しようかとかリズムをもっと簡素にしようかと考えたのですが、彼の注文を取り入れていかないと一緒にやってる意味がないので無理にでも押し込んでみました。

今回は既に話が長くなりすぎているので他は概要だけにしますが(笑 展開の部分を大袈裟にすることで「トランス的な大胆な」の部分をクリアし、サビが豪華なのでそれに劣るように、且つサビに行くまでの期待感のあるA/Bメロを。
ざっと展開も出来たところでタイスケを呼んで最後の微調整注文を聞くわけですが、ここで沢山問題が発生しました。最初は機嫌良くノッていたのに、「この管少し大きくなりませんか?」から次の話は始まります。

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暫く寝込んでおりました、xignです。
インフルエンザ常習犯(過去6回・・・)な僕ですが今年も例外なく、と言ったところでしょうか(笑 原因はアデノウィルスとかいうものだったみたいですが、この勢いで奇跡的に豚インフルエンザにもかかってしまいそうで怖いです。

という具合でGWといえど殆ど寝込んでいたようなもので、その間にも容赦なく細々とした〆切りなんかがありまして。一週間ほど前に発熱などが一度落ち着いたのでその谷間のところで頑張ってなんとか巻き返したのですが、完治せずに無理に動いたせいでまた悪化してしまいました・・・。風邪をひいたら大人しくしてないとロクな事がないですね。


なぜ今日はこの話から始まるかと言いますと少しご報告がありまして、この寝込んでいた件でハウス活動の相方であるタイスケと少し口論になりまして、tail-back deXignを解散することになりました。

口約ではなく正式に契約が決まってからと思い伏せていたのですが、実はHouseNationに収録させて頂く話がありまして。制作ペースは間に合っていたものの、少し直しが必要な箇所があり一曲保留になっていました。先ずは曲選考提出用にとりあえずのものでもいいので送らなければいけなかったのですが、直しをするどころかほぼ寝たきりでスタジオには出向けないのでファイルを送る術もなく。
彼もせっつかれて焦っていたのか、電話越しに「約束が違う、早く送れ」の一点張り、僕の方は「今は自宅なんだし手段がない、流石に外には出られない」と平行線で、ついには『じゃあいつになったら治りますか』から、挙げ句に『もういいっすわ!』とガチャ切りされ。まあ色々積もっていたものが形となって自然と表れたのでしょうね、でもそこまで言われてしまうと流石にもう無理なのでこういった結果に。

一番疑問なのは、連休のイベントに間に合うバージョンを上記に書きました熱が下がってた谷間の時期に作って渡してあったので、とりあえずはそれを焼いて渡してくれれば済んだ話なんですが、、、自分のPCでCDの焼き方が分からなかったのか、なくしてしまったのかなんなのかもう今となってはよく分らないですが、僕が這ってでもスタジオに出向いたところでどのみち提出するのはそのバージョンなので、何が気に入らなかったのか面倒だったのか兎に角色々謎だらけなまま、色んな理不尽さを感じこういった結論に至りました。
t-xignに引き続きtail-backも応援してやろうと思って下さった方には申し訳ない気持ちですが、ご理解頂ければと思います。

早かった気がしますが、彼と出会ってt-xignを始めてからそろそろ4年が経つんですね。トランスを始めてから沢山学ぶことがありましたし、手札も一段と増えた気がします。その点は出会えたことを感謝してますね。
彼もHouseNationのDJとしてこれからも頑張ってくれればと思います。


さて、これでハウスの活動目標が一旦リセットされたわけですが、これからどうしようかなと言うことで(笑 このまま僕らの担当の方とソロに話を変えて進めてもいいんですが、名義が変わってしまうしそれもなんだか違うなと思うので、んー。ハウスネイションを諦めるのは名残惜しいですが、振り出しに戻ったことを考えると他の展開も視野に入れながら平行して動かないといけないのかなと思います。
後輩の手助けのお陰で海外へのアピール機会がありそうなので先ずはそれですかね。その後回り回って逆輸入という形でなら日本でのプロモーション方法にも幅が出るので、所詮は理想論ですが、なんとかならないかなと。
あとこれはいい機会だと考えを変えて、今のうちにハウス以外でやりかけていた曲やプロジェクトを進められるだけ進めておこうかなと思います。久しぶりに受注仕事以外の完パケデモを作り貯めするいい機会なのかもしれませんね。

ハウスの新曲に関しては色々手直しをして、近々musieにでもUPしておこうと思いますので、期待して待っていて下さっていた方長らくお待たせしました、よかったら聴いて下さい。。
reasonに関しては大幅変更してしまったせいで、書きためていた制作メモが無意味となってしまいました。修正するか書き直すかをしてまた改めて、freedomももう7割方終わってますのでそれも合わせて制作メモをお届け出来ればなと思います。

それでは今日はこの辺りで、諸々のご報告まで。

気が付けばもう年も明けてしまってますね、、、皆様如何お過ごしでしょうか。

去年はあまりいい事もなく、ただひたすらに先行きが不安だったり仕事に追われるだけの散々な年でしたが、年が明けてからは幾つか明るいニュースも頂けたりして、ようやく少し上向きになりました。
今は目の前の仕事で手一杯ですが、これらが片付いたらまた個人活動にも戻れるかと思いますので、お話出来るよう事はそのときが来てからにしたいと思います。
次の展開に関して既に幾つか動いてるものもありますから、近いうちにお話出来るものもあるかなと思います、頑張ります。先ずは新曲営業、そしてコンピ収録、更にそれを超える新曲、、、平行して個人名義活動、仕事も通常通りの量をこなすこと、文字にするとたったこれだけですがナカナカに難しいです。

メジャーさんもセールスに苦しみ、それらに付随や関連する業種も同じ様な状態で、「インディース」もピンキリになり、益々混沌としてきました。この先はエンタ業界を一括りにして動いていかないと成り立たない状況になっていく気がします。今までも技術の切り売りをしたり器用に振る舞ってきましたが、これからも更にそれを要求されると思います。それでも僕の席はあるのか、どうすれば生き残れるのか、難しいところですがそれはなんとか見つけ出したいです。
この不景気ですから皆さんも同じく大変かもしれませんが、共になんとか生き抜いていきましょうヨ。


年末に書き始めた制作メモがあるんですが、長くなってしまって途中で放置してしまっています、、、。なかなか落ち着いて何か書こうって時間が取れないんですよね。それも時間を見てちゃんと完成させますね。
とりあえず次回はそれで、今回はこの辺りで。

久々に書きます。

ここを始めてから改めて感じるのですが、書き物をするって難しいですね。
僕はブログは日記とは違うと思ってる派なので(日記自体がコンテンツになってる場合はそれでいいと思うんですけど)僕が今日はこんな事がありましたーとか書いてもツマンナイでしょうし、仕事のことだと書けない内容も多いし。あんまり小難しいエッセイ的な話を書いても取っつきにくいでしょうし、こうやって構えてしまう事もあって中々筆を執る事が出来ません。


とりあえず今回は無難に制作的な事を(忘れないうちに 笑)書いておきます。

今回のお題は「I want U」の新しいリミックスについてです。
「overdrive」や「ヒーロー」などと一緒に7/17に発売されますtastumakiのコンピにボーナストラックとして収録されますので、よかったら買ってクダサイマシ!

こちらの曲、ちょっと反応を見たかったこともあり実験的に作ったスタイルの曲なんですが、フレンチエレクトロポップな仕上がりにしてみました。
「リミックスらしいいわゆるリミックスを作りたい」って事もあって、日本向きな感じを意識しすぎると想定してる方向性とは変わってしまって落としどころが見えなくなってしまうので、今回は日本人の好みみたいなものは意識しないで作ってみました。それもあってこの曲はmusieに上げずにマイスペと、後にお話ししますコンテストのトライアル曲として提出してみました。

今回のサウンドのお題の一つに「僕があんまり好きではない音色を羅列する」というものを設定しました。というのもフランスを中心とした音源を聴いていくうちに感じた一番の印象は「こういう音は好きじゃないなあ」「こういう音は滅多に使わないなあ」と言うものばかりで、要するに僕の好みをことごとく外していけばアチラなサウンドになるんじゃないかなと楽観的に考えました。これを踏まえてオリジナリティも模索していかないといけないので、とりあえずはアレンジが頭で鳴り始めたところで音作りから始めます。


先ずはキックなんですが、大抵においてノックが恐ろしく強くて重心た高め、ペチっとしていて胴の詰まり具合が少なく、ローはある程度あるけどブーンって鳴る、というような傾向をよく耳にしました。加工された状態前提でメジャーな音でいいますと、909より808的な音ですね。昨今のエレクトロポップの中で嫌いな音色No.1はこのキックです。

料理って、大したものでなくても自分で作ると結構美味しいじゃないですか。この法則を利用して(笑)昔から少しずつ作り貯めしてあるライブラリに一切手をつけずにイチから、波形からキックを作ってみました。
単純な波形で構成された言わば音階感の少ないBs音からキックを作っていくわけですが、今回はスクエアをPro53、ノコギリをそこらのフリーで落としてきたPSG音源モドキ、サインはEM-1を使ってブレンドしていきました。各種パルスは、今回はノコギリなんかを潰せば事足りるので使いませんでした。

一種類のシンセに絞らなかったのは、それぞれのシンセが持つ鳴り方の特徴を適切に捻出出来る純波形を使いたかった事と、それぞれ波形を直接EQ出来た方がバリエーションが作れると思ったからです。ペイオフで諦めた部分は一台完結だったら可能なoscシンクやFMなどですが、もし必要になった場合でもサンプラーなんかに突っ込めばこの後の段でも如何様にもこねくり回せるので先ずは一旦この部分を諦めました。
基本となる音を3つ程度作り、主に波形ごとのアタックやリリースやPMのパターン(速度)違いも含めて録音していき、簡単な波形編集を施した後にBatteryに投げ込んでサンプルとしてライブラリ化しました。

とりあえずきついアタックを捻出・保持しないといけないのでコンプゲートには相当気をつけました。キック作りに欠かせない様々な歪みに関しては、あまり極端にやっていくと胴がついてしまって「いわゆる909系」に近づいてしまうので、「レトロ音源をなんとか使えるところまで持って行きました!」な感じにするために手加減を。
主にフィルタ部やそれらプラグインで予め波形ごとに必要最低限の部分は加工を施してしてあるので、わりとすんなりいきました。コンプ段でもサチレーションを含む歪みを作るわけですが、可能な限りアタックの輪郭が強調される部分にだけかかるようにし、主に倍音を整えるコンプ本来の役割に徹しました。
最後に帯域抜き出し(分割)→ローエンハンスと位相操作→EQ→コンプ でできあがりです。必要だと思われる基本となる波形は腐るほどライブラリ化してあるので波形から作ったのは実に数年ぶりですが、なんとかなりました。

で結論ですが、少しは愛着が沸きましたが、やっぱりあんまり好きな傾向のキックではないですね(笑

スネアは色々検討した結果、確かリンドラを元波形としたものを使ったと思います。サンプラーでPMカマして、基本ピッチも決めて、EQ→コンプで終わりだったとお思います。生のスネアも重ねてるんですが、これはサンプルタンクだったと思います。歯切れ良くするためにゲート処理ではなく、両者をレイヤーした状態でそれぞれのエンベロープのリリースで調整しました。
他のパーカッションは既存ライブラリから適当に。
キメの「ズパーン!」は生スネアとタムをレイヤーしてビットクラッシュしてEQコンプ、リバーブをドッバーとかけて終わりだった気がします。


音色ですが、今回のテーマに沿って考えた結果、可能な限りスクエアの代わりにパルス系のえぐれた波形で輪郭を出して前に出していく方向にしました。これはベースもリードも同じです。スクエアの輪郭成分が欲しいときは可能な限り帯域を絞り込んだエンハンス処理で逃げ切りました。

サビ始まりのところではBsがリード兼になるフレーズがあるのである程度目立って貰わないといけないんですが、後半にリードフレーズが入ってくるので似た波形にすることでコイツに当たっちゃうと元も子もないので、Bsを引っ込ませるのではなくある程度前に出した上でリードを「もっと」前に持ってくる方向で考えました。最初のバージョンは死ぬほど目立ってましたが、仕上がりを聴いて最後に加減しました。

今回もう一つ決め事としていたのはBsを歪ませない事。一言で歪みと言っても様々な種類や手法がありますが、今回はDist的な方向はナシにして、歪ませるとしてもロービットでローファイな感じにしようと思いました。
Bsはそこらのいつもの音源でちゃちゃっと作れたんですが(フレーズ化するために3種類が抜き差しされながら鳴っています)、リードと喧嘩しないで上手に前に出てくれるものを検討した結果、主役はSiD系で行く事にしました。
使った波形はノーマルなものですが、こいつの特有のジャリジャリしたフィルタをがっつりカマして高域の特定倍音を過剰にブーストし、ビットクラッシシュしてジャキジャキにしながら天井を取りました。Qを絞ったピンポイントなEQはやはり音量にムラが出てしまうので、余計なオシレーションノイズとロービット化した事による波形のエッジのデジタルノイズを緩和するためにハイの軽いシェルビングと暖色系のコンプを幾つか試し(結果URSの1980を使いました)質感が残る程度に角を取るトリートメントを。


全体的なミックスとサウンドカラーですが、ここでも一苦労です。
一番問題になってくるのが普段扱わない波形をふんだんに使っている事で扱い慣れていない倍音をもってる音をハンドリングすることです。最初は何をやっても思った感じに鳴らなかったんですが、途中でコツが掴めてきてなんとか収まりました。

ミックス傾向も変えるために空間処理も普段はあんまりやらないスタイルにしてあります。
奥に伸びる空間を好みの1/3くらいに想定して近接感を出来るだけ強調。これで音を逃がせる箇所は近接の左右と上下だけになるので帯域分担をいつもよりシビアに(上下)、左右はもう位相操作しかないので、ハコでかけても芯が出るようにメインの音を中心に定位は基本センターで、エッジだけ引っこ抜いて操作する事で広がりを。
今回はボーカルが主役ではないので前から奥まで三段階あるとすると、リードとキックスネア→VoやBs→その他、といった配置になってます。位相を弄ることでEQしたり音量差をつけるのとはまた違った感じで輪郭線を強調したり緩めたりして前後感配置にも役立ちます。
これでヘッドホンでもステレオスピーカー環境でもハコでもある程度の鳴りに仕上がったと思います。

最終段のコンプ処理ですが、これはパーツごとにコンプゲートを丁寧にやっていたので結構すんなり終わりました。近接感があるのが今回のミックスの趣旨なので、シャッフル感を強調するようなしゃっくりしてるコンプゲートが結構キモになってきますし、あとで全部を整理するのは大変だろうと思い、リズム担当セクションごとに3つに分割して整理してありました。サイドチェインで引っかかりに統一感を持たせるのも楽デス。
前にもこれに似た処理をした事があって最後に少し楽出来た覚えがありましたのでまたやってみたんですが、やはり最後の整理が楽でいいですね。こういうミックスには向いてる手法だと改めて思いました。

と今回はザックリとこんな感じでしたが如何だったでしょうか。

 

それでですね、アパレルのDieselがサウンドコンテストをやってまして、僕も応募してみました。以下のアドレスにそのポータルを作ったんですが、作期間限定ですので宜しければガンガン聴いてやって下さい。未発表音源なども含め、全曲フルサイズで上がってます。

http://dum.diesel.com/artist/xign

選ばれると最終的にはフランスで行われる世界選抜のイベントに出られるらしく、どうにかならないかなあ、なんて。賞金とか契約どうのとかではなく、こういう特殊なプライズが付いてるコンテストってなんかいいですよね。
もっと多くの、幅広い人に自分の曲を聴いて貰うチャンスが欲しいデス。
ではまたー

そこで。

そういったものを作り出すこと、生み出そうとすることは、作業をすればするほど実際に何かを作り出すことと何も直結しないことが多いという事に気付く。要するに考えても無駄なのだ。
人にとって意味不明なことを説くことや何かに置き換えてものを作り出すことは結局自分のためと自己満足であり、人に伝わる頃には結局形を変え、劣化コピーされ、人の中に入っていく。
自分の喜びがまた形を変えて人の心情や情動を動かすことは『究極のリサイクル・エンタテインメント』であり、作り出せてしまうのは真に芸術的な行為で、それが出来てしまうのが偉人、即ち天才と呼ばれる人達なのだろう。それら感情や考えを、話に置き換えることが出来る人。メロディーや、詩、映像に置き換える能力がある人・・・ 誰でも「それ」にはなれるのだ。
アーティストという区切りを持たない人たちにもちゃんとチャンスはあって、例え受け取る側であったとしても自分にコピーされたソレを自分でかみしめる力さえあれば、真に意味など存在しないこの世界で生きている意味に、そして自分の存在価値に繋がっていくのだろう。


でもそんな僕たちが実際にしがみついてしまっているものはなんなのだろうか。
その場で消えていくメールに乗った軽い想い、瞬時にことを終わらせてしまうテクノロジー。苦しみや達成感から生まれる喜びがあるのだとしたら、テクノロジーの進化で僕たちが獲得した「新たな時間の有意義な生活」というやつは実際にどんな喜びを生み出してくれたのか。
道具は道具を生み出し、また新たな道具だけを生み続けて、それを利用したり選んだりすることだけに没頭し、その道具を踏み台にして何かを生み出そうという本質的行為を進化やテクノロジーってやつは忘れがちにさせるほどの力を持ってしまっている。

一方的に発信される娯楽、共感したかのように錯覚させる周囲の意見との合致を生むインフラや仮想コミュニティ。文化的背景がもたらす「空気を読んだ」遠慮空間の居心地の良さ。そこにテクノロジーが力を貸し、容易に得ることが出来る「意味」や「娯楽」。
少なくとも新しさしか意味のないテクノロジーは、時代が進めば笑い話にしかならない使い捨ての歴史だ。最新技術を用いたのフラットTVも、近い将来「3次元では無かった頃のテレビ」と揶揄されてしまうだろう。無駄じゃなかったと思える筈の人生の集まりは、果たして本当に未来に向かって自慢出来るものがあるのだろうか。
自分で何かを育てること、それが出来ないなら育っている何かを助けたり見守ること。そうしようとしたときに初めて、テクノロジーや自分の周りにあるものが全部意味のあるものに変わるんだ。

どこかで災いがあった、世界で一緒に愛を叫んで団結する。先導をした人達以外のこの行為は所詮各々に安心ってものを産むだけだ。自分に陶酔することでもなければ、意味を見出すことでも無い筈だ。それが「正義とされているから」なんてそんなバカげたものばかりが溢れすぎている気がする。
その安心している自分を横目に事の核心と本質を追求し、追い求めている人が確実に居るって言うのに、悔しさを感じないのは嘘だ。もし世界全体が「そこに愛がある・ない」で動いているだけなのなら、きっと地球さえもいつかそれに包まれて侵食されていくに違いない。


それらは僕の考えであって、誰に説くことでも、誰に諭すことでもない。
どんなに感動しても悲しくても、息をしているだけでも、必至に何かを築き上げてる人にも、平等に時間は流れ、何をしてもしなくても確実に時間は過ぎ、社会は着実に稼動し、勝手に、そしてお構い無しに冷たい態度で前へ進んでいく。まるで迷子になった子供が目の前を通りすぎていく大人達を冷たい存在に感じるように、足早に通り過ぎていくだけ。
そこからイチ抜けても、混ざっても多分大差はないし、人は勝手に足を進め、躓きながらもそれぞれがそれぞれの正義を全うしていくだけだ。


でも何かを残せるのだとしたら。意味という後付けの情動をもって発信する何かが誰かの中に作れるのだとしたら。自分が行う行為で、人の足を止めさせたり、行動を変えさせることが出来たら。
そしてそれが自分の生きる意味というやつに繋がるのだとしたら。それが素敵な事だと思える自分が居たら。
少なくとも僕はそれを全うし、そして同じように思ったり行動している人に混じって未来という奴に何かを残そう。

それが出来たら、あなたはあなたの中でヒーローであり続けられる、それは僕が約束しよう。
少なくともその正義を全うしているあなたに僕が出遭ったとしたら、
あなたは僕の中では確実にヒーローなのだから。

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音楽屋さん
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映画鑑賞 などなど
自己紹介:
作曲、プロデュースからエンジニアリングまで、曲が出来るまでの全ての工程をなんとなくそしてぼんやりとこなす人。ジャンルはポップス、ロックからダンスミュージックまでなんでもやります。最近はすっかりハウスの活動が中心になってマス。
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