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xignからあなたへ、ちょっぴり放つサイン。 気軽にレスとか残してって下さいねえー
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お久しぶりです。
前回からバタバタしていましたが少し落ち着きましたので近況を書こうと思います。

先ず渡欧営業の件ですが、、、残念ながら行けませんでした。某上海万博の仕事で度重なる変更が出てしまって、その対応に追われる形で空けられる筈だった4月のスケジュール分に食い込んでしまったため断念しました。次に機会があるとしたら9月下旬辺りかなと思うんですがこれも危うくなってきました、、、まだなんとかして行きたい思いはありますが。


業種シフトの方はお陰様で上手く行っていると思います。まだまだ難点も多いですが、有り難い事に思った以上に仕事を頂けています。

そのうちの一つの案件なのですが、詳細はまだ言ってはいけないみたいなので伏せさせて頂きますが、未発表の幾つかの音源を提供してくれないか、とお声掛けして頂きました。今まで皆さんからお問い合わせのあった「あの曲どこかで買えないの?」と言ったようなものも幾つかリリース出来るかもしれません。
大袈裟に流通に乗せず、パッケージ化もせず、比較的気軽に、安価に、音源を売れる状況が作れないか、そのディストリビューターやアグリゲーターをやって貰えるようなところは無いのかとずっと探していたのですが、今回頂いたお話はその最初の一歩にする事が出来るかも知れません。
ご提供方法としては少々特殊な形態を取ることになりますが、某既存サービス上に乗せて配信させて頂く方法とだけお伝えしておきたいと思います。価格設定も多分iTSよりは安く出来ると思います、現在交渉を進めておりますのでもうしばらくお待ち下さい。
お待たせしてしまった方、発売などを楽しみにして頂いたのにご期待に添えられなかった方、お待たせして申し訳ありませんでした。勿論このサービス用にと長い目で新作も検討しています、今後とも宜しく御願いします、頑張ります!


蒸し暑い日が続きますが、皆様も体調など崩されぬようご自愛下さいね。
ではまた。

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その日スタジオが入っていたので9時起きでご飯食べて12時くらいに出ようかなと思っていたところ、その9時に某主催の担当に電話で叩き起こされる。

- 寝てました?
「いや、まあ寝てました、はい。」

- 実はですね、バタバタしすぎていてオープニングの発注忘れてました(テヘっ☆
「そうなんだ、大変だねえ」

- アリモノでいいので30秒ほどのやつ御願い出来ませんか?
「え・・・。いや、いま自宅だしこれから出るんだけど・・・。
朝まで帰らないと思うけど、いつまでに必要なの?」

- えっと今日中じゃないと駄目なんですよね、、、
 アリモノでもなんでもいいのでなんとか御願いします!
「てか自宅だってば(笑 機材も何もないんだけど・・・。」

- ちゃちゃっと御願いします!
「ま、、また電話するよ、、、(ガチャ」

とりあえず急いで着替えて駐車場に。車に積んでるCDとにらめっこした後3、枚抜き取ってさあどうしようかと。選択肢は8曲くらいしかない。自宅なので機材も無い。とりあえずは電話を。

「あのさ、車にCD積んでたんで何曲かあったけど、どういうのにしたいの?」

- 最初静かなかんじで、あとはドーンとノリノリで!
「そんな曲無いし、、、」

- その曲を適当に切り貼りで駄目ですか?
「うーん、、、がんばる、、、ってか2時間しかないし機材もないんだけど(笑」

- 頑張って下さい(笑
「う、、、うん」

- あ、あと歌は入って無い方がいいです!
「う、、、、、、、うん(苦笑)」

freedomのエレクトロ版があったので、確かlivetuneさんがエレクトロな感じだったのでこのジャンルは大丈夫だなと。間奏のところが使えそうかなととりあえず取り込み。続いて「静かなところ」に当たる部分を考えてみたけど暗~い曲ならあったけどどう考えても『ミクフェス』って感じじゃない。よくあるドーンって効果音のあとPAD系でルート取って緊張感を煽るみたいなのをするにもダークすぎるというか格好いい方向なのでこれも違うし、それ以前にそれを作る環境すら無い。

部屋を見渡してみると、itunesのジュークボックスとして使っている彼女のMacBookが。確かこれにシャレでLogic7入れた気がする・・・。あった;;
これにベッドルームにあるMacのキーボードとマウスを引っぺがしてくる。これでなんとか戦える。

xign は こんぼう を てにいれた!

確か持ち歩いてるUSBメモリにキーコマンドセットがあったな・・・。あった;;

xign の すばやさ は 10あがった!

問題は音源だ、、、何もない。あ!・・・そもそもドングルは仕事場だ、なんだよー起動出来ジャン・・・。 と、MacBookの中身を見てみるとLogic8が!(ドングル要らない)そっか、これもシャレで入れてたなあ、ってことは付属音源使えるな・・・せーふ;;

xign は おんげん を てにいれた!

とりあえず立ち上げ。テンポを合わせてから頭をトランケートしてどこでも切れる状態にする。駄目だろうなと思いつつES2と格闘、イントロのパッドを作って、Logic8のSE集から幾つか効果音を抜き出して合成、このサンプルが無駄にサラウンドファイルなので2chに変換。やっぱまだダーク過ぎる。
もうこれは今作るしかないと。考えてる余裕もないので(@1時間)とりあえず綺麗に聞えるってことで最初に浮かんだのが「ヒーロー」のイントロフレーズ。これをマウスポチポチして打つしかないなと・・・。とりあえずアコギの音色を立ち上げて作業開始。
言うまでもないけど、、、機械っぽい。「如何にも打ち込みです」みたいな感じに。

ため息とかつきつつおもむろにitunes用のHDを覗いて、使えそうな曲が本当に入って無いのかもう一度みてみる。まああるにはあったんですけど、そもそも160k/AACなので うーん・・・。とそのとき、あれ?今「Steinway」の文字が見えたような見えなかったような。気のせいかな、うん、寝起きだしね。
そういえば、うちの彼女は昔ピアノを習っていたらしく、たまに弾くのに音がショボ過ぎて面白くないというので、Logic7をジュークボックスMacに入れて弾けるようにしてあったのです。これがこんなところで役立つとは。

xign は ごうかなピアノ を てにいれた!

え、弾けるように?カシオトーンがあった気がする!
収納を散策、、、(後光が差しているようにみえる)救世主カシオトーン様現る。
車に戻り、セッティングで用意していたMidiケーブル(超長い)を出してきてAudioPhileUSBにセット。

xign は かしおとーん を てにいれた!

と勝利のガッツポーズも取らないうちにペダルがない事に気付く。

くっ!ガッツがたりない!

「まあ鍵盤無いよりはマシだよね!」とか根拠のない励ましを自分に送り、作業を始めると、こんなペダルありきの曲でかえって弾きにくいという事実に直面したため、カシオトーン様はただのステップ入力デバイスに格下げされる。

ざっと打ち込んだ後、サスティンを手付け、データ修正、時間の許す限りテンポチェンジ情報を入れて揺れと〆のリタルダンドの調整。

もうこれでいいわ、てかもう時間的に事実上終了(15分前)ってところでピアノをバウンス。プレイバックして冷静に聴くと、
「これはないわ、使えない」、、、。

とりあえず電話を取り、出先へ事情を説明、1時間だけ猶予(世間的には遅刻というらしい)を貰う。

この段階ではもう引き返せないので、波形編集などなどを考えるとあと15分くらいで出来ることと言ったら音加工だけ、音で誤魔化す方向に。
とりあえずEQ、「これはポップス的なベタピアノです!断じて綺麗に弾いた感じじゃないです!」を強調するのに軽くコンプ、ハイ強調、深めのリバーブをかけてもうこれ以上は誤魔化せないってところでfreedomとくっつけ。切った場所が良くないため30秒で終わるキリのいい箇所が見当たらないので、後半の間奏に急遽差し替え、ブレイク部分を使って終了するため後ろを綺麗に切り落として、さっき作った「ドーン!」を付け足したが、これでは締まらないのでさっきボツにしたパッドをここに持ってきて、まだ少し寂しいので別の音色でテンポシンクするスクエアLFOでフィルタのレゾナンスを大胆に開け閉めする音色を作ってそれをステレオディレイで飛ばし、「ピシュン、ピシュン」ってのをレイヤー。
スタジオコーストでは何回かやっていてハコの鳴りも分かってるので、ヌケる音でズーンと来るようにローミッド帯域にサイン波を入れてルート強調。まだ迫力が足りないのでパッドの方にベロシティ半分で5度とoctを足して、いいか悪いかを判断する時間もなくバウンス。音決めでEQ、空間処理、これをフリーズ(テキトーMacBookにはパワーがないので事あるごとにバウンスかフリーズ)。
イントロピアノ、freedom、ドーン、パッドでズーンのレベルをざっととって、ドーンをピークにして3~6db落ちにfreedomのピークが来るよう設定(ハウスのコンプがかかることを前提に、ドーンにインパクトを持たせるため、力量は倍~1.5倍程度に)バウンスして完成。
これをUSBメモリに投げ込んで、WINに入れ、サウンドフォージでトリミング、そのままftpに投げ込んでUSBメモリにバックアップを取り、出発。

出先で鯖のURLをメールして終了;;

xign は くさったしたい を たおした!


正直満足いく出来とか以前の問題でしたが、本番でピアノが流れて「ワー!」っと歓声が上がり、freedomのパートでペンライトがビートに合わせて振られ、ドーン!でもっと凄い歓声があがったとき、やって良かったなと思いました。
そのとき隣に無茶振りをしてきた某主催君が立っていたんですが、思わず握手してしまいました(本人は歓声を見てイベントの成功が見えて喜んでいただけでしょうが)。

ライブ終了後に、この曲に動画をつけてくれた森井さんにお話を聞いたところ、どんな曲が来てもいいようにと可愛めの素材と格好いい素材パートを用意はしていたものの、普通に考えて両方を同時使うのは難しいだろう、その場合片方だけで素材は足りるのだろうかと悩んでいたらしく、曲を聴いてから「これなら両方使える!」とかなり喜んでくれていたようでした。しかも格好いいパートは無理を言って他の方に素材を御願いしていてボツにするのは忍びないと思っていたのでむしろ助かりましたと感謝までされてしまいました。
なんでもやっておくものですねぇ。

DVD化の話もあるようで(?)御覧になる機会があれば「これが無駄に大変だったやつか;;」と一緒に泣いて下さい。


前回分と合わせて今回の総評になりますが、こんなに和気藹々とした現場はナカナカないんじゃないかなと思うくらいスタッフさん、ディレクターサイドの方々、みんなほんといい方々ばかりでした。
皆プロ根性剥き出しで「NO」も「無理」も一度も聞えてこなかった、代わりに笑い声が沢山聞える本当に良い現場でした。きっとあの場の空気を壊したくないとみんなが少しずつ努力された結果なんでしょうね。僕らサイドも負けじと立派なバンドが組めてた気がします。
終わった後、今回携わったスタッフ全員(ホント全員)が笑顔を見せていたのが非常に印象的でした。

今回はReasonの原曲のお話です。

もうかれこれ3年近く前になりますか、元々原曲と呼べるものはこのバージョンでメモ的に作って放置しておいたものを今回仕上げてしまいました。特筆するような事はしていないので今回は内容が薄くなりそうな事はこの時点で想像出来てしまうんですが(笑 とりあえず何か書いていきたいと思います。

いつもそうなんですが、曲に取りかかる前にどういう場面で聴くような曲か、目を瞑ってその曲を聴くと見える絵はどんなか、っていうのを意識しています。「休みの日にオープンカーでドライブするときにアガる曲」「爽やかな風が吹く丘が見える曲」、といった具合ですね。
今回は「夜帰宅するとき、電車の窓から外を見ながら聴きたくなるような曲」という感じにしたかったので、これに沿って作っていきます。


ゆったりと聴く曲なのでアレンジから見ていきましょう。
あまりに前の話なので何を考えてこの進行にしたのか全然覚えてないですが、シンプルに、メロが引き立つように、それなりにポップで聴きやすく、それでいてアガり過ぎないように、と言うコンセプトだった気がします。途中で悩んだ箇所はどの程度ブラック感を残すか、っていう部分だったかな?あまりブラック過ぎてしまうと日本人の好みに合いにくいかな、という懸念があるからですね。
今回手直しと残りを作るに辺り変更などをした部分は些細な部分だけですね、例えば素直にVで終わるのか、IVm/Vにするのか、9thは必要?などなど、その程度でした。

アレンジに当たっては、これだけお国柄を色濃く感じさせたり、今回のようにそれを加減する大事な部分という事もあって、一番気を遣うのは1にも2にもフレーズの部分でした。曲調に合うかなと思うフレーズをとりあえず作ってからそれに合わせてボイシングを考えて埋めていく、という方向ですね。はじめにエレピをバーンと弾いてしまうとコード感が強くなりすぎてそれだけでオケを埋めてしまって完結しかねないので先ずはガイド用のベーシックなドラムを適当に打って、ギターから手をつけ始めます。最初はガットのフィンガー弾きが合うかなと思っていたフレーズも、実際に使ってみるともっと張りが欲しくなったのでアコギに変更しました。


ざっとワンハーフ分のフレーズを作りながら簡単な和声付けが決まってきたら、展開に沿ったオケの厚みを考えながら他の楽器も入れていきます。先に少し書きましたがBメロでは少し変化が欲しかったので音色にも変化が反映するように弦のピッチカートとハープを試しながらあのフレーズを考えました。まだ殆ど楽器が入っていないものの、ちょっとやり過ぎたかなと思ったので、この見せ方は2番のエクスクルーシブに回してその手前のAを少し寂しめに落とし込む事で馴染みを作り、1番はAと同じ進行とフレーズのまま突っ切ってしまう方向に決めました。単純に2回しだと飽きてしまうので、この方法で1番はそのまま、2番はワリと動くパターン、と変化をつけました。
本当はダラーっと行ってしまうシンプルなアレンジの方が「っぽい」んですよね、ただメロの変化が少なくシンプルな作りなので、アレンジの方で少し変化を持たせないと飽きさせてしまうかなと思って妥協点を取りました。日本人的にはA/B/サビ構成な曲の馴染みが深いせいか味気なく感じてしまうからでしょうか。


次はサビなんですが、取るかかる前にドラムを決めてしまいます。
サビの厚みをどの程度にするかを考え、それを踏まえてその手前のA/Bを調整するので、見比べるに当たってドラムの五月蠅さ加減が作用してしまう事が一つ。もう一つはどうノルかでフレーズに影響が出るので、曲の持つリズム感を自分の中で整理する意味もあります。
音色ですが、全体のサウンドを考えると綺麗なだけで終わるのは嫌だなあという思いがありました。綺麗に聞けるけど、どこか尖っている、その両方の要素で包み込んでくるような音、と考えてアンサンブルをイメージしていくとドラムは全部歪んでてもいいなあと思いました。「どこか尖っている」の部分は、コンセプトに照らし合わせると「今置き去りにしていった雑踏」の部分ですかね。逆に綺麗にまとめる部分は「向かっている家などの落ち着ける先」を指すのでしょうか。

キックは生とエレドラ音色でレンジが広いものを二つ選び、ピッチを整えてから思い切って歪ませます。ここで大事なのはアタックの張りと優しめの胴、抜け切るブーミーなお尻部分です。そのイメージになるようにレイヤーのブレンドを調整しながらエレドラの方だけキャラ作りの一貫でコンプ、2つ纏めてディストーション処理をしてから倍音を揃えるためにコンプし直します。
スネアはパショッ!っていうタイプかタイミングの乱れたクラップかで悩みましたが、シャッフル感で遊べそうなので後者を取ります。3種使い、2つはレイヤーに、1つは裏打ち用に使っています。これも仕上げに歪ませます。
ハットは胴強調するタイプの生系のものとハイ補助をするものの2種使っています。生の方をディストーションさせてミッドにエッジを出しつつ五月蠅さを加算します。
決め起きのパターンを組むのでシャッフルタイミングを中心に慎重に考えながら組んでいきます。

準備は完了したのでサビに取りかかります。ギターはもう出来上がっているので、これを邪魔せず絡んだ上で足りない和声感を補うために今回はローズMk1を敷きます。
トップでカウンターを作るんですが、補助リードとの兼ね合いを見ながら。量感に関しては楽器を増やさずエレピのf特で解決する方法を取ります。いい感じで響いてきたので一応ここまでは完成とします。

で、最後にようやくベースです。最後まで取ってあったのには理由があるんですが、こういうジャンルの場合は大きく分けてコードチェンジ部分でルートを押さえるだけのベタなパターンと、かなり動きがあって遊んでるパターンの2通りで考えるんですが、後者をとるにしてもフレーズが揃っていない時点でそれをやると自由すぎて不必要にカウンターが増えてしまい、他の楽器を大人しく纏めてしまって活きてこないので、その間を取って加減し易いためにも最後に残してありました。ルートだけ押さえる感じでもなく、忘れた頃に少し大胆に動く、でも控え目な感じで、という位置づけと役割で考えていきます。
サビが完成しました、なのであとはこれを踏まえてA/Bパートに戻ります。


アコギがフレーズを歌っている事でコード感が足りないので、和声を補う程度にガットギターでシンプルなパターンを弾きます。上を使いすぎるとフレーズを邪魔しますし、下過ぎてもパワフルすぎ、音数が多くても倍音が増大するので、オープンからみて1段だけ上のハイコードを意識して1弦と6弦をミュートして中4弦だけ使います。大人しく聴いて欲しいパートなのでBsもベーシックに大人しめに、ですね。

Bsの音色の話を忘れてましたね。最初は久々にSE-1に電源を入れてサインを中心にただ太いだけ、音階感の少ないロー成分たっぷりな音を使っていたんですが、曲の中程に差し掛かったところでキックとの兼ね合いを考えるとロー処理が大変だなと思った事と、遊んで上に逃げた際にリードと似た音でぶつかってしまうために面白くないのでノコギリを中心に使ったMoogとスクエアはSH101に変えました。全体で考えると2oct程度動くので、音階としてもf特としてもレンジを広く使ったときにそれほど音の太さにバラつきがないように倍音が多い音の方がいいなという判断です。
大雑把にコンプしてから音を作りましたが、ディチューンを一生懸命調整したくらいで大した処理はしていません。oscの一つはサインのままにしてあるのですが、ローは広がりを作る事でオケに包まれる感覚の一部を作り出せるので、音が出来上がったら120Hz以下の左右の位相を狂わせて横に広げました。エアーで鳴らすとこれくらいのローなら指向性が狂って定位感は死ぬので勝手に拡がって聞えるのですが、コンセプトに乗っ取るとヘッドホンでもそれを感じて欲しいのでそのための処置でもあります。


全体を通してはそうですね、曲調が曲調なのでその中で荒さを感じる部分が欲しかったので音処理もフレーズの方でも少しだけ小細工を施しました、くらいですかね。シンプルにさっと仕上げた方がいい気がして実際かなり短時間で作ったのですが、出来るだけ生っぽさと言いますかルーズな部分を残すようにしました。音に関しても同じで、結構乱暴で大雑把な処理のまま終わっているところが多いです。気分の問題が殆どだと思うんですけど、こういうのを丁寧にするとココも丁寧に、だったらここも合わないのでまた丁寧に、、、と小さな発端から結局全体が上品に仕上がってしまうので、少し思い切ったくらいのルーズな部分は必要かなと思っています。


では今回はこの辺で。次回は多分ロックバラードな曲になると思います、お楽しみにー。

今回はfreedomのエレクトロリミックスについてお話しします。


先ずは今回のコンセプトのついてですね。

ここ数年のエレクトロのトレンドはフィジェットだったかと思うのですが、格好いいは格好いいんですが僕はこの手のサウンドは玄人過ぎて日本では絶対にウケないと感じてまして、一切手を出さずにきました。部分的に取り入れるにしてもどう付き合えばいいかもよく分らず、これといった方策もないままきました。
次にヨーロッパ全体を見渡してみると、同じエレクトロでもフランス、ドイツ、イギリスをはじめとしてそれぞれ曲調も異なっていて、2009年現在「コレ」と言える分かり易いトレンドもなく、上記フィジェットに至っては発祥や発展した国はそのどれでもないといった次第です。
サウンド傾向もかなり違います。イギリスは線が細くシンプルなサウンドが多く、ドイツは全レンジが詰まったファットなもの、フレンチは独特な上がり目の位置に音が詰まった近代ローファイな感じのもの、、、と様々ですね。勿論アーティストによって毛色が全然違いますから一概には言えませんが、総評するとそういった傾向のイメージを受けます。

さて、これを踏まえてどうしようかを考えました。
以前「I want U」でフレンチっぽいものをやってますからカブっちゃうのも面白くないと思いますし、今エレクトロで何をやりたいかと自問自答すると大してやりたい事もないなあというのが正直な感想で(笑
ってことで、試しに今まで自分が色々と聴いてきた中での不満点を挙げていきました。展開に乏しい、音が残念、などなど一旦リスト化してみて、同居出来るであろうサウンドを想像し、そこから「俺は今こういうのが聴きたいなあ」というのをイメージするところから始め、それらを元に、

・I want U と差別化を図る事
・フィジェットの本来の意味「忙しい、せわしない」を展開で表現
・それに伴って飽きさせない、コロコロ変わる展開、オドカシの要素を多く
・アレンジは最小限に、カットエディットや抜き差しを中心に遊ぶ
・比較的簡素な和音感、音数は多め、Bs兼リードの主役音を中心に
・但しベースは歪ませない方向で
・テクノ、ロック、ディスコの要素を同時に取り入れる
・迫って来るような、包まれているような極太サウンド
・それに伴う過剰コンプとサチュレーションサウンド、でも空間付けを

大雑把にはこんな感じでしょうか。

こういう曲はロックでいうところのリフの部分にあたるメインフレーズありきで考えていくため、主なコードワークを決めてから先ずはベースのフレーズを考えます。2通りくらいあれば十分かなと思ったので、とりあえず4パターン考えました。
次は音ですよね。リードも兼ねるため重要な要素の一つです。

予め考えておいたフレーズを簡単に打ち込み、鳴らしながらキーにフィットするようシンセサイズしていきます。「歪ませずにいわゆるぶりぶりベース」を使いたいので、歪んでいると感じさせる要素、つまり倍音配列がおかしくなったり乱れたりしている状態を作るため、シンセ側で工夫します。
今回はSynthEditで自作したシンセを使います。単純波形からシンプルな音色を作りたいとき用に用意してあるものなんですが、最近のバーチャルシンセは色々ゴテゴテ付きすぎていて簡単なものを作るときかえって使い難く感じるんですよね。GUIも凝っているがために何処に何があるか分かり難かったり、パラメータを弄るノブが小さ過ぎたり。
こういうときのためにすぐ触れる位置にNORDLEADを置いてあるのですが、如何せんハードであるばかりに事後処理の不便さがどうしてもつき纏うので、余計な機能は一切省いて自分で使いやすいよう工夫したシンプルなものです。

3osc構成ですので、oscのひとつを基本ラインの1oct下に回して音階感がギリギリ分かるような音を作り、基本線が分かり易いよう中心となる部分はノコギリに、この時点でそれなりに輪郭線は見えますからあとは強調させられるようスクエアとパルスを乗せてみて様子を見ます。ノッチがかかり、張りと胴で勝負する中抜けした音を想定していたので、ここで内蔵フィルタを試してみましたが思ったような効果が得られないので、EQを挟んでミッド切りで対処し、大体いけるかなと思ったところでポルタメメントとフィルタエンベローブ調整していきます。
次にオケとの馴染み調整用にもう一つレイヤーしておく音を作っておきます。馴染みと言えばリバーブをはじめとする空間EFXをかけるわけですが、今回はドライな音にしたいのでその矛盾する部分をレイヤーさせた音色で補います。リバーブと決定的に違うところは音そのものを変えられるところなので、輪郭を出しつつギラギラしたエッジを持たせて元音自体の線が消えないように(今回はVangardのAjaxsawを中心に)且つ元音に似た成分を混ぜて馴染みを作り、リリースは本音色よりも若干長め(リバーブ代用部分ですね)にしておき、この長さの部分は最終的に改めて調整します。

次は5度乗せ音です。ここは音楽的なこともあるのでかなり迷いました。フレーズを鳴らしながら音色やレベル調整をしていった結果、フレーズ面から考えて基本的にはやらない方向の方がいいなと思いました。ただBs兼リードなわけで和音感がかなり乏しくなりますから、そのせいで和音楽器を入れるのもいやなので、2oscで下にデジタルフィルタでジョリジョリ感を出して擬似的にパルスっぽくしたものを潜らせてメイン部分でノッチした箇所に太さの部分を加味するように設定し、上にスクエアを乗せて、この波形に5度の倍音が強調されて出るようにフィルタリングします。こうすることで部分レイヤーするであろうフレーズに5度感があるような無い様な、且つBs自体が太くなるような音が作れました。
この方法で、使い分けをするか片方に絞るかを後で考えられるよう2パターンの音色を組んでおきます。

そろそろベーシックを作らないと始まらないのでドラムを打ってみる事にします。
キックに関しては、丸いけど太い音が欲しかったのでいつもの事前仕込みライブラリを漁って適当なものをピックアップしてみました。ピッチをみてアタック感とリリースをチェックしながらEQ/コンプまで仕込んでおきます。Bsと仕事が被らないことを確認したら次はスネアですね。
今回はワリとミッドにコシがあって太め、ズバーン!とくるものが欲しかったので、レイヤーする方向で行く事にしました。ベースとなるのはリンドラと909とのレイヤーをSP1200に通したローファイな自前音色、もっと輪郭が欲しいので皮のテンション緩めのスナッピーを切った生スネア(音源はBSDです)を作り、それぞれピッチ調整を済ませたら一旦録音、ビットクラッシャーで8bit化してローファイに。それなりにリリースがあっていい感じに汚れました。
ローファイ化したことでハイが出てないので上に乗せるものを幾つか試したのですが、「ズッバーン!」の効果を得るためのテストとしてリバーブをかけつつ同時にコンプして遊んでみたものの思った効果にならないので、ハイ出しがてらにリバーブのかかった音自体をレイヤーした方が早くないかなと思い別の方法をとりました。

これは大学生時代によく使っていた手なんですが、先ず適当なスネア(メインとなる音に似つつも別種の倍音を持っているものがいいです)を選び、深めで太めのリバーブをかけて、フルウェットか2割程度までの原音を混ぜて録音してしまいます。これをサンプラーに並べて同時にトリガーしながら、アタックを原音に譲るように削り、リリースやディケイを調整しながら長さを決めます(調整次第で別倍音を持ったゲートスネアみたいなものが作れちゃいます)。
元々ハイが足りなかった事が発端だったので、その部分をカバーするようEQで調整し、ズバーン効果が強調されるようにコンプ、これをメインのスネアとレイヤーして馴染みを確認。その後の扱いが面倒なので、原音のリバーブ成分と偽リバーブ音を混ぜたものを一度録音し、一つのサンプルにしておきます。これでこの音色を切ればドライに、レイヤーすれば密度の濃いリバーブがかかった音色に変えられるという寸法ですね。
リバーブをかけた状態で位相の調整がてら横に広がりを作っておいたいのでダイナミックで広がりのある独特な音が完成しました。リリース部分はこの先に待っているマスター段階での過剰コンプを想定し、新たに押し込まれて長くなることを計算にいれ、実音のキレ部分を基準に長さを決定、実際に聞えるのはそれよりも若干短くしておきます。地味ですが後々効果の出る大事な作業ですね。

HHはシンプルな方がいいとおもったので3種選択し、いつでも切り替えられるように待機、裏4のパターンとその手前16も打つシェイカー兼用パターンの2種を先に作っておきます。
残りのパーカッションですが、シンプルなパターンを組んで音の調整です。
全体音を太い仕上がりにする際ローミッドの処理をどうするかが結構ポイントになってくるのですが、基本的に切ってしまった方がスッキリ聞える部分なので、逆に考えてあとの判断で出具合を調整出来るようにパーカッションの位置を落としてあえてこの部分を中心に纏めておきます。そうする事でアメリカ製なハウスっぽい独特な太いドラムトラックに仕上げる事が出来ます。

あとは個人的に「ゴミ処理」と読んでいる効果なのですが、適当なループを取り出してきてpHatmatikやIntaktなどの波形を分断処理出来るようなサンプラに放り込み、16や32分に切られた部分を幾つか抽出してリズムの空白部分に埋め込み、擬似的な厚みを出していきます。これが特に効果を発揮するのは過剰コンプをかけた曲やドラムを使うときで、今回はそう言ったサウンドにする事が決まってますから丁寧に処理していきます。元音を過剰ゲート/コンプでシャックリさせてから隙間に埋め込むのも手ですね。

リズム楽器が揃ったところでドラムパターンを3パターンほど打っておきます。一旦全部をキックと同じコンプに仕込んでみて潰し具合と占有帯域を確認しながらBsと混ぜて喧嘩しないかを確認します。この時点でいい感じで馴染んではいたのですが、ドラムがまだ想定していた太さを出せていません。エキスパンダで量感調整もしたのですが、方向性の違う感じになったので、生ドラムの量感処理を応用して対処します。


今回は小技を幾つかお話ししているので、折角ですからこの部分もお話しして置こうかなとおもいます。
僕がやっている生ドラムの飽和調整のやり方なのですが、例えば一旦全楽器のマイク処理(かぶりのEQ処理など)が終わってドラム用バスでコンプ調整した後、それぞれの楽器のauxを別バスに立ち上げます。
キックなどは小さめに(これはただでさえ原音の方のキックの倍音を増やすために卓のゲインで歪ませていることが多いので更にゴチャっとさせ易いからです)、逆にオーバーヘッドなどの全体音が入っているものを大きめに設定し、サチュレーションが起こる程の過剰なコンプをかけます。これにチューブ歪みなどを加えていき、ミッドからローミッドが飽和したような部分を作りながら、最終的にEQでメインのドラムに足りない部分を残して不必要箇所を思いっきりカットしていきます。それでも量感が足りないようならコンプの手前段に初期反射音だけを残したリバーブを入れみたり、マルチバンドコンプを挟んでミッドのエキスパンダを調整するだけでワリと簡単に量感が増えます。

ここで注意すべき点は一つだけで、過剰コンプした事で消えてしまったアタック感なんですね。そのまま混ぜると、「よく分離したメイン音+なんだがゴワーとした物体」にしか聞えないので馴染ませるための処理をするのですが、ここはf特的に調整していくのではなく、トランジェントを操作します。キックの張りの部分はメインの方に残っている事が多いので、強調した上でその下に潜り込ませて「アタック自体に量感がるように」調整します、これはスネアも同じです。HHはむしろ逆で削る方向、リリース部分のみに量感を出してあげます。これには沢山理由があるのですが、一番は定位の問題ですかね。HHである以上なにがしかのPAN処理をしている事が殆どでそれを邪魔しかねないための対策です。原音にショートディレイを仕込んで両側で聞えるようにしたのに、位相の兼ね合いでセンターから消えてしまったり量感が大きく聞えてしまったりで。
位相の話が出ましたが、この状態でまだ馴染みが悪いようならメインパート側の各楽器の位相を反転させたり戻したり、サンプルディレイ的なものを挟んでみたりしながら様子を見ていくと尚良くなると思います。

とこれが自分のセオリーなのですが、今回は生ドラムではないので元音操作は自由自在、処理はラクチンです。量感処理音が出来たらそのBUS音を元音のコンプに参加させてみて、出来上がりです。BUS戻しが面倒だったり扱いが大変なら一度書き出して別波形に纏めておくのもいいですね。


あとは全体的に他の楽器を考えていくと、Bsやボーカル、シーケンスを筆頭に乾いた音に仕上げたい音ばかりでオケが構成されてしまいます。ただでさえコンプを過剰にしてダイナミクスも死にますし、量感とのトレードオフで空間を失います。なのでドラムで出来るだけ空間や奥行きを感じられるようにアンビエンスを調整してし、混ぜた状態である程度空間を感じられるようにします。今回はスネアとパーカッションにこの担当をして貰いました。


全体のアレンジが見えてきたら兎に角必要だと思うフレーズをさっさと打ってしまい、早めに一区切りつけてもう触れないように録音しちゃいます。これはカットで仕掛けを作るのが楽になるためと、それがアレンジの一部分でもあるので、いつでも取り返しがつく状態にしておくとキリがなくなってしまい、どうしても引き返そうとしてしまうので自分に縛りをつけてしまいます。
ドラム、ボーカル、必要なパート数種類と出来上がったので、展開を考えながら並べ、思いついた先からどんどんフィルを作りつつ切れ端パーツを作っていきます。
この際にオーディオ処理が必要なものは作ってしまう、アリモノのサンプルを混ぜる、全体として整理する、という作業も同時進行です。

並べていくうちに全貌が見えてきたのでそれに沿って地味な作業(キメ系の効果音を作ったり、シンバルなどの後付け音追加、ボーカル処理等々)をし、サビベースの後半パート部分も切り貼り編集、で次はギターの録音です。
8級レベルな僕のギターで適当に録音、演奏補修編集、フレーズ化してこれもオーディオに。ハイブリッドにするために、弾くのが面倒だったり弾けないフレーズなどを打ち込みギターで。この辺りで使ったエフェクトはAmpFarmとAmplitubeを使い分けています。


今回はあまりアレンジの話をしてませんが、単純に深く考えたところが無いんですよね(笑 切り貼りと構成決めで勝負したかったのもあるのですが、考えすぎたりアンサンブルが綺麗すぎると漢らしさが損なわれていくので全体としての勢いが死にますし、Bs兼リードを使っているせいで和音感は元々も乏しい事も理由の一つですね。
一つ挙げるとすると、最後の最後で少し出てくる大サビの部分でしょうか。ここは基本的にVI→I→Vの動きなんですが、パワーコードでIII→V→IIを弾いておく事で本来のBs進行を5度で保つようになります。下に回しているためにどちらのラインもベースに聞こえるよう錯覚し、たったこれだけでもう説得力が出ちゃうので、これがバンドサウンドギターの面白いところですねえ。


という感じで今回は終了です。musieには2番部分に当たるところしか上がっていませんが、大体の感じは分かって頂けると思います。フルサイズで聞かれる機会がありましたら、ガンガン変化しながらジワジワとアガっていく感覚を楽しんで貰えたらなあと思います。

今回はmusieに暫定バージョンをアップしました、「freedom」のお話です。

先にもお伝えしましたが、reasonのハウスバージョンを作るに当たって元々ディスコファンク調だったものをリメイクした理由の一つはその方がエイベックスさん向きだなと判断したからなのですが、どうせこの方向性でいくならfreedomの方が向いてるなあ、と感じたのも一つの理由でした。

先ずはいつものようにVoをメロダインでグリグリしてみて大体こんな感じかなと纏まったところで、頭の中で聞こえてきた和声感と曲全体が持つリズムに従ってアレンジし、同時に存在しないコーラスの追加パートをこの時点でねつ造しておきます。
15年、20年前に流行ったジャンジャンピアノが今更リバイバル的に流行ってるようなので、どうやって自分の曲に取り入れようか、この1年近くかなり考えてみましたが、今回一つの答えが出た気がします。

このジャンジャガピアノさん、結構侮れません。基本的にトライアドか7th程度を加味してシンプルでベタな和音構成を保ちながらリズミカルなフレーズにするわけですが、ベタベタにやってしまうとバカっぽくなるので自分的には当時やり過ぎたせいもあって食傷気味といいますか、あんまり好きじゃないんですよね。
じゃあどうするのかという話になるんですけど、あんまり弾きすぎると「ソレ」にならないし、ボイシングをガチガチに固めてしまうとそれだけで音楽的にオケが成立してしまって他の楽器が入る猶予がなくなるので、やり過ぎず加減しすぎずというさじ加減が必要になってきます。
こういったフレーズのルーツを考えると、ファンクやソウルの2音カッティングギターのリフをベースとして生まれたものでしょうから、例えばトップが歌いすぎるのもソレっぽくないので、トップラインでカウンターを仕掛けたくない場合は動きを基本2~3音程度に納めて内声を一定と見せかけて下を踊らせるように動かせると活き活きしてきます。5度→4度(11)→5度や、3声→4声と移り変わる、最低音をBsをくぐらせてテンションを出す、などなどトップラインに合わせたブラスアレンジをする感覚、というと分かり易いかもしれません。

音色ですが、ざっとしたところはreasonの記事を参照して頂いて、それに似た構成になっています。こういうピアノはなんといってもM1ですよね、チープさとハイの独特な響き、詰まったようで位相感の緩いミッドが綺麗に出るので馴染みもいいです。自分でも2009年になってまでまさかM1ピアノを使う事になるなんて想像もしなかったですね(笑 「流行のループ」って恐ろしいです。
弦や管に関してもreasonと同じ感じに仕上げました。ただブラス感を強調したかったので管に関しては少し金属の軋みを強調する仕上げに。

逆に大きく違うのはベースですかね。
今回はソウルフルなグルーヴ感も感じて欲しいと思っていたので、その趣旨に沿って考えるとBsは真面目に全部弾かないと駄目だなと思い、イントロなど繰り返す事がかえって効果的だと思う部分以外はループフレーズにせずに全部弾きました。音色的にもAmpサウンドはブレンド程度でライン録りのニュアンスを出し、エッジがよく見えてフレーズがある程度活きるように考えました。こんな複雑なフレーズをスラスラ弾けるほど上手なわけはないので、一部だけは切り貼りな生なのですが(どこか分かりますでしょうか)気合いで打ちを込みします。裏8分とかズンタタな裏16octベースにすると楽なんですけどね、芸がないし趣旨も違うので却下ですね。クッていい箇所やシンコペーションが大事なタイミング、特にレガートさせるところをはじめデュレーションなどを慎重に確認しながらフレーズが遊べる自由感のあるフレーズを考えていきます。かなり面倒で時間も掛かる作業ですが、ここは「どうせ誰も聴いていない」という部分にはあたらない重要な箇所かと思うので地味にちゃんと効果は出てるかと思います。
音に関しては打ち込みパートと生パートの整合性を図ってバレ無いよう音色を似させる所から始め、キックの音色との兼ね合いを見ながらロー処理をしていきます。音長にも影響し、ひいてはグルーヴに関わる事なので、キックのブームの長さとベースのフレーズが崩れないようにコンプ・ゲートをこの時点で処理して決めおきします。
少しだけ悩まされたのは、弦の振動によって倍音配列の音量が狂ってしまい、EQコンプ処理すると音質の方にも影響が出るので、あまりに酷い箇所は実際に自分が聞こえるトーンになるよう倍音の大きいところを基準に音階変更やピッチベンドでリチューンしました。単純な平均律・純正律のチューニングやローインターバルリミットなんかもそうですが、こういうのはわざと響きを作るための技として使う場合はいい武器になりますが、ただ邪魔なだけの存在になると回避策がいきなりグッと制限されて逃げ道も少なく高度になるしで、かなり厄介な存在ですねぇ。

キックに関してはこういった曲はローが太く、アタックのエッジが効いてれば事を成すタイプの曲なので、僕の好きな胴の部分はいつもより相当削って作ってあります。こうする事で管のブホーと唸る部分やBsの胴をキープしてもそれなりに効果があり、またお互いにいい感じにマスキングしあって相殺され、無駄なEQ処理をせずに済むからです。同じ様にこの空間にボーカルの腰の部分を放り込めるので、Voの野太い部分も削らずに済み、声の位置を落とせると言う長所もあります。こう考えていくとメリットは多いですよね。


先ずはサビが響いてこないとだめなので、アレンジはサビから始めます。正直に言うと先行のデモが必要な局面があり、そのためでもあったのですが(笑 そういったオトナの事情はさておき、先ずはリズムとボイシング、フレージングの整理からですね。
ファンクやディスコ調を強調しすぎると16感とその引っかかりが強くなりすぎて走らないし、かといって崩し過ぎるとファンクにならない。でもサビである以上もっと流れてスピード感も欲しいのでエイトや速度感のあるシンコペーションは混ぜたい。そこでいつもの役割分担&ブレンド作戦で乗り切ります。

先ずはキックですね。4つ並べて8か16回に一度8分や裏16分のタイミングなお約束ノリでもいいんですが、リズムのかなりの部分をキックで強調されてしまうのでいわゆる4つ打ちにすると流れすぎて僕が今回欲しい感じになりません。そこで4つの流れが最低限保たれている状態をキープし、4つ打ちに反抗する形で考えていきます。キモ分は「and now I'm~」のアーフタクト部分とその後どうするかですよね。ここを4分で強調した後ただドンとサビが始めるのは何か違うので、ここは偉大な先人の黒人の方々の大いなる知恵を拝借してファンクの16感をその後に強調出来るよう8分タイミングを強調してから、ディスコによくある「裏2つクラップ」が拍ズレした感覚で、そしてその帳尻合わせをし、結果2拍食ったように見せかけます。一度感覚で一回り分全部手弾きしてから微調整し、裏拍も使っている事で基本となるシャッフル感も左右されるため、タイミング関連はこの時点で合わせて考えてしまいます。
あとはパーカッションで8感を出してバランスを考えるんですが、ただ流れるだけでは面白くないので、HHCやシェイカー特にボンゴコンガなどは16ファンクの基礎タイミングである弱拍と更にその弱拍、裏と裏々ですね、色々注意しながらベーシックリズムを作ります。

残った大事な楽器としては管のパートですね。ここはディスコティックに纏めたいので上記の調整部分で少し走るようになるくらいにしておくことで管パートは若干引っかかりを作っても全体としてそれなりに流れます。
このタイミングが大切だなと思うパートを先に打って様子を見ながら他の部分を考えて隙間を埋めていきます。主張しすぎてもだめだし、かといって頭では鳴っていたポイントとなるカウンターのフレーズは残したいので、これは音色で調整するのではなく、フレーズとして音楽的に調整します。エンディング部分の弦に関してはVo(主旋律)が無いのでやりたい放題ですから、切なさが少し感じられるような元気ラインを。
ここまでざっとうまくいったので残すはA/Bメロです。


ここは苦労はした記憶もないのでざっと纏めますが、とりあえずAフレーズx2というような構成のメロなので一周目と二周目のアレンジを変えて変化をつければA→Bに移ったかのような役割だけは果たせるかなと思いました。
序盤フレーズってのはセカンドコードで提示者の雰囲気が決まると思ってまして、ファーストコードで「先ずこういう風に始まるんですよ」と提示し、聴いてる側は「ほうほう」となり、「で、次はどう出るつもりなの?」と思われているところに「これがさ、こう雰囲気でグッとこう来るカンジなんだよ」と序盤の方向性を提示するところだと思ってます。はい、抽象的過ぎて全然分からないですね、僕もそう思います(笑
とりあえずその概要だけ分かって頂いたと仮定して、例えば先ほど「2周目で変化を出したい」と言いましたがここでそれを発揮させるため、今回はVIm7からのVm7な動きを使ってブラック感と黒人音楽独特の情緒感をもって曲に入っていけるよう誘導します。第一転回の5抜きにしておくことでVImの際の3度から動くラインを作れるので7thにあたるメロにしても濁って聞こえないし、BsがVI→V、すぐ上に乗ってる内声の動きがI→VI♭となるので短3度間をキープして落ちる事で移調したか借用使ったかというオドカシの感じをちゃんと出しつつも綺麗なラインが組めます。ついでにVImも7addして一回下に回してルートを抜いた形にしておくと、V→Vと安定した動きを(動かない)混ぜられるので更に気持ちいいですね。
別に大層な事はしてないわけですが、地味に曲の印象に響くところだと思うので丁寧に考えたいところですね。
他に気を遣った部分としてはフィルインですかね。ここはブラック感を強調出来るチャンスでもありますから、生ドラムでならどうするかをベースに考えました。


そろそろ構成決めしないと先に進めないところまできました。ここでソロ転向した事がかなり影響を及ぼします。
タイスケと組んでいた時は構成決めをする際に「こうきて、こうきてこうだな、でもここはどうせこうして欲しいと言われるだろうしやめておくか・・・」という部分が確実にありました。それ自体はどっちでもいい事なのですが、好き勝手な構成にする事で別のアイディアが連動して浮かんできます。
例えば2番のA/Bメロからサビに行く際の展開を考えていくと「ここはもっと引き延ばしたいな」と思いました。色んなパターンを考えますが、先ずはオケ抜きで一旦ブレイクとして落としてサビのフレーズを歌わせようと言う事にしました。
Bの繰り返しの部分ですが間が持たないので色々工夫してみると「ここはちょっと控えめなソロとか入れちゃおうっかなあ」という、今までだと多分禁止されたであろう発想に変わります。そしてブレイクのあとサビにどうやって戻るかを考えるとタメを作ってドンというのがいつものパターンなのですが、ここにタメっぽいものは欲しいものの、それに相反して行ききってしまう勢いも欲しくなります。これも多分今までなら却下されちゃったでしょうね。
そこでオケ/ボイスカットと多少のグリッチも混ぜてやろうとかいう発想に結びつきます。(これはボーカルだけ切りだししてアリモノの切り貼り編集で済ませました)
でも流して聞いてみて、もし自分がDJをしていたらと考えるとサッパリしすぎている気がしました。タメはタメでもブレイクやキックフィルのような形ではなく、かといってサビ繰り返しではないタイプでサビに行く前の長尺な前段になるようなもの、且つ別のノリ方をみせられる方法(同じノリだとサビに戻ったときにインパクトが薄れるため)はどんなのかと考えたとき、先ほどのソロの発想がまた戻ってきました。

趣旨の一つとして生感を出したかったわけでやらない手はないとVoなど数パートを消し、遊べるように基本をスリーコードになるようBsだけ残してコード感は出来るだけ排除、ノンクオンタイズで何度か弾いてみて気に入った部分をざっと編集して終わりという相当大雑把な方法で直感的な部分がちゃんと残るようにしてみました。それ以前にノリノリで弾いてて楽しかったです、それも大事な事ですよね。
これで「サビに行くと見せかけて別の展開ですよ」という裏切リ感も演出し、もう一度別のパターンで連打のカットフィルを使う事で継続感の勢いも出せました。あとはVoのカット処理やスピンダウンなど効果音的な部分を編集して終わりです。
結果ここは自分的に曲としての印象的な部分を一つ追加出来たと思うので、そういった意味でもやって良かったなと感じると同時に、発想ってのは色んな事が影響するんだなと改めて感じました。


今回はざっとこんな感じでしたが如何だったでしょうか。まだまだ説明しきれない小細工なども沢山盛り込んでますので、どう言った形でこの曲を発表出来るか分かりませんが(どうせまだ手直しすると思いますし)何度も聴いて貰える、その度に発見があって、より入っていける曲になれば嬉しいです。

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