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今回はmusieに暫定バージョンをアップしました、「freedom」のお話です。

先にもお伝えしましたが、reasonのハウスバージョンを作るに当たって元々ディスコファンク調だったものをリメイクした理由の一つはその方がエイベックスさん向きだなと判断したからなのですが、どうせこの方向性でいくならfreedomの方が向いてるなあ、と感じたのも一つの理由でした。

先ずはいつものようにVoをメロダインでグリグリしてみて大体こんな感じかなと纏まったところで、頭の中で聞こえてきた和声感と曲全体が持つリズムに従ってアレンジし、同時に存在しないコーラスの追加パートをこの時点でねつ造しておきます。
15年、20年前に流行ったジャンジャンピアノが今更リバイバル的に流行ってるようなので、どうやって自分の曲に取り入れようか、この1年近くかなり考えてみましたが、今回一つの答えが出た気がします。

このジャンジャガピアノさん、結構侮れません。基本的にトライアドか7th程度を加味してシンプルでベタな和音構成を保ちながらリズミカルなフレーズにするわけですが、ベタベタにやってしまうとバカっぽくなるので自分的には当時やり過ぎたせいもあって食傷気味といいますか、あんまり好きじゃないんですよね。
じゃあどうするのかという話になるんですけど、あんまり弾きすぎると「ソレ」にならないし、ボイシングをガチガチに固めてしまうとそれだけで音楽的にオケが成立してしまって他の楽器が入る猶予がなくなるので、やり過ぎず加減しすぎずというさじ加減が必要になってきます。
こういったフレーズのルーツを考えると、ファンクやソウルの2音カッティングギターのリフをベースとして生まれたものでしょうから、例えばトップが歌いすぎるのもソレっぽくないので、トップラインでカウンターを仕掛けたくない場合は動きを基本2~3音程度に納めて内声を一定と見せかけて下を踊らせるように動かせると活き活きしてきます。5度→4度(11)→5度や、3声→4声と移り変わる、最低音をBsをくぐらせてテンションを出す、などなどトップラインに合わせたブラスアレンジをする感覚、というと分かり易いかもしれません。

音色ですが、ざっとしたところはreasonの記事を参照して頂いて、それに似た構成になっています。こういうピアノはなんといってもM1ですよね、チープさとハイの独特な響き、詰まったようで位相感の緩いミッドが綺麗に出るので馴染みもいいです。自分でも2009年になってまでまさかM1ピアノを使う事になるなんて想像もしなかったですね(笑 「流行のループ」って恐ろしいです。
弦や管に関してもreasonと同じ感じに仕上げました。ただブラス感を強調したかったので管に関しては少し金属の軋みを強調する仕上げに。

逆に大きく違うのはベースですかね。
今回はソウルフルなグルーヴ感も感じて欲しいと思っていたので、その趣旨に沿って考えるとBsは真面目に全部弾かないと駄目だなと思い、イントロなど繰り返す事がかえって効果的だと思う部分以外はループフレーズにせずに全部弾きました。音色的にもAmpサウンドはブレンド程度でライン録りのニュアンスを出し、エッジがよく見えてフレーズがある程度活きるように考えました。こんな複雑なフレーズをスラスラ弾けるほど上手なわけはないので、一部だけは切り貼りな生なのですが(どこか分かりますでしょうか)気合いで打ちを込みします。裏8分とかズンタタな裏16octベースにすると楽なんですけどね、芸がないし趣旨も違うので却下ですね。クッていい箇所やシンコペーションが大事なタイミング、特にレガートさせるところをはじめデュレーションなどを慎重に確認しながらフレーズが遊べる自由感のあるフレーズを考えていきます。かなり面倒で時間も掛かる作業ですが、ここは「どうせ誰も聴いていない」という部分にはあたらない重要な箇所かと思うので地味にちゃんと効果は出てるかと思います。
音に関しては打ち込みパートと生パートの整合性を図ってバレ無いよう音色を似させる所から始め、キックの音色との兼ね合いを見ながらロー処理をしていきます。音長にも影響し、ひいてはグルーヴに関わる事なので、キックのブームの長さとベースのフレーズが崩れないようにコンプ・ゲートをこの時点で処理して決めおきします。
少しだけ悩まされたのは、弦の振動によって倍音配列の音量が狂ってしまい、EQコンプ処理すると音質の方にも影響が出るので、あまりに酷い箇所は実際に自分が聞こえるトーンになるよう倍音の大きいところを基準に音階変更やピッチベンドでリチューンしました。単純な平均律・純正律のチューニングやローインターバルリミットなんかもそうですが、こういうのはわざと響きを作るための技として使う場合はいい武器になりますが、ただ邪魔なだけの存在になると回避策がいきなりグッと制限されて逃げ道も少なく高度になるしで、かなり厄介な存在ですねぇ。

キックに関してはこういった曲はローが太く、アタックのエッジが効いてれば事を成すタイプの曲なので、僕の好きな胴の部分はいつもより相当削って作ってあります。こうする事で管のブホーと唸る部分やBsの胴をキープしてもそれなりに効果があり、またお互いにいい感じにマスキングしあって相殺され、無駄なEQ処理をせずに済むからです。同じ様にこの空間にボーカルの腰の部分を放り込めるので、Voの野太い部分も削らずに済み、声の位置を落とせると言う長所もあります。こう考えていくとメリットは多いですよね。


先ずはサビが響いてこないとだめなので、アレンジはサビから始めます。正直に言うと先行のデモが必要な局面があり、そのためでもあったのですが(笑 そういったオトナの事情はさておき、先ずはリズムとボイシング、フレージングの整理からですね。
ファンクやディスコ調を強調しすぎると16感とその引っかかりが強くなりすぎて走らないし、かといって崩し過ぎるとファンクにならない。でもサビである以上もっと流れてスピード感も欲しいのでエイトや速度感のあるシンコペーションは混ぜたい。そこでいつもの役割分担&ブレンド作戦で乗り切ります。

先ずはキックですね。4つ並べて8か16回に一度8分や裏16分のタイミングなお約束ノリでもいいんですが、リズムのかなりの部分をキックで強調されてしまうのでいわゆる4つ打ちにすると流れすぎて僕が今回欲しい感じになりません。そこで4つの流れが最低限保たれている状態をキープし、4つ打ちに反抗する形で考えていきます。キモ分は「and now I'm~」のアーフタクト部分とその後どうするかですよね。ここを4分で強調した後ただドンとサビが始めるのは何か違うので、ここは偉大な先人の黒人の方々の大いなる知恵を拝借してファンクの16感をその後に強調出来るよう8分タイミングを強調してから、ディスコによくある「裏2つクラップ」が拍ズレした感覚で、そしてその帳尻合わせをし、結果2拍食ったように見せかけます。一度感覚で一回り分全部手弾きしてから微調整し、裏拍も使っている事で基本となるシャッフル感も左右されるため、タイミング関連はこの時点で合わせて考えてしまいます。
あとはパーカッションで8感を出してバランスを考えるんですが、ただ流れるだけでは面白くないので、HHCやシェイカー特にボンゴコンガなどは16ファンクの基礎タイミングである弱拍と更にその弱拍、裏と裏々ですね、色々注意しながらベーシックリズムを作ります。

残った大事な楽器としては管のパートですね。ここはディスコティックに纏めたいので上記の調整部分で少し走るようになるくらいにしておくことで管パートは若干引っかかりを作っても全体としてそれなりに流れます。
このタイミングが大切だなと思うパートを先に打って様子を見ながら他の部分を考えて隙間を埋めていきます。主張しすぎてもだめだし、かといって頭では鳴っていたポイントとなるカウンターのフレーズは残したいので、これは音色で調整するのではなく、フレーズとして音楽的に調整します。エンディング部分の弦に関してはVo(主旋律)が無いのでやりたい放題ですから、切なさが少し感じられるような元気ラインを。
ここまでざっとうまくいったので残すはA/Bメロです。


ここは苦労はした記憶もないのでざっと纏めますが、とりあえずAフレーズx2というような構成のメロなので一周目と二周目のアレンジを変えて変化をつければA→Bに移ったかのような役割だけは果たせるかなと思いました。
序盤フレーズってのはセカンドコードで提示者の雰囲気が決まると思ってまして、ファーストコードで「先ずこういう風に始まるんですよ」と提示し、聴いてる側は「ほうほう」となり、「で、次はどう出るつもりなの?」と思われているところに「これがさ、こう雰囲気でグッとこう来るカンジなんだよ」と序盤の方向性を提示するところだと思ってます。はい、抽象的過ぎて全然分からないですね、僕もそう思います(笑
とりあえずその概要だけ分かって頂いたと仮定して、例えば先ほど「2周目で変化を出したい」と言いましたがここでそれを発揮させるため、今回はVIm7からのVm7な動きを使ってブラック感と黒人音楽独特の情緒感をもって曲に入っていけるよう誘導します。第一転回の5抜きにしておくことでVImの際の3度から動くラインを作れるので7thにあたるメロにしても濁って聞こえないし、BsがVI→V、すぐ上に乗ってる内声の動きがI→VI♭となるので短3度間をキープして落ちる事で移調したか借用使ったかというオドカシの感じをちゃんと出しつつも綺麗なラインが組めます。ついでにVImも7addして一回下に回してルートを抜いた形にしておくと、V→Vと安定した動きを(動かない)混ぜられるので更に気持ちいいですね。
別に大層な事はしてないわけですが、地味に曲の印象に響くところだと思うので丁寧に考えたいところですね。
他に気を遣った部分としてはフィルインですかね。ここはブラック感を強調出来るチャンスでもありますから、生ドラムでならどうするかをベースに考えました。


そろそろ構成決めしないと先に進めないところまできました。ここでソロ転向した事がかなり影響を及ぼします。
タイスケと組んでいた時は構成決めをする際に「こうきて、こうきてこうだな、でもここはどうせこうして欲しいと言われるだろうしやめておくか・・・」という部分が確実にありました。それ自体はどっちでもいい事なのですが、好き勝手な構成にする事で別のアイディアが連動して浮かんできます。
例えば2番のA/Bメロからサビに行く際の展開を考えていくと「ここはもっと引き延ばしたいな」と思いました。色んなパターンを考えますが、先ずはオケ抜きで一旦ブレイクとして落としてサビのフレーズを歌わせようと言う事にしました。
Bの繰り返しの部分ですが間が持たないので色々工夫してみると「ここはちょっと控えめなソロとか入れちゃおうっかなあ」という、今までだと多分禁止されたであろう発想に変わります。そしてブレイクのあとサビにどうやって戻るかを考えるとタメを作ってドンというのがいつものパターンなのですが、ここにタメっぽいものは欲しいものの、それに相反して行ききってしまう勢いも欲しくなります。これも多分今までなら却下されちゃったでしょうね。
そこでオケ/ボイスカットと多少のグリッチも混ぜてやろうとかいう発想に結びつきます。(これはボーカルだけ切りだししてアリモノの切り貼り編集で済ませました)
でも流して聞いてみて、もし自分がDJをしていたらと考えるとサッパリしすぎている気がしました。タメはタメでもブレイクやキックフィルのような形ではなく、かといってサビ繰り返しではないタイプでサビに行く前の長尺な前段になるようなもの、且つ別のノリ方をみせられる方法(同じノリだとサビに戻ったときにインパクトが薄れるため)はどんなのかと考えたとき、先ほどのソロの発想がまた戻ってきました。

趣旨の一つとして生感を出したかったわけでやらない手はないとVoなど数パートを消し、遊べるように基本をスリーコードになるようBsだけ残してコード感は出来るだけ排除、ノンクオンタイズで何度か弾いてみて気に入った部分をざっと編集して終わりという相当大雑把な方法で直感的な部分がちゃんと残るようにしてみました。それ以前にノリノリで弾いてて楽しかったです、それも大事な事ですよね。
これで「サビに行くと見せかけて別の展開ですよ」という裏切リ感も演出し、もう一度別のパターンで連打のカットフィルを使う事で継続感の勢いも出せました。あとはVoのカット処理やスピンダウンなど効果音的な部分を編集して終わりです。
結果ここは自分的に曲としての印象的な部分を一つ追加出来たと思うので、そういった意味でもやって良かったなと感じると同時に、発想ってのは色んな事が影響するんだなと改めて感じました。


今回はざっとこんな感じでしたが如何だったでしょうか。まだまだ説明しきれない小細工なども沢山盛り込んでますので、どう言った形でこの曲を発表出来るか分かりませんが(どうせまだ手直しすると思いますし)何度も聴いて貰える、その度に発見があって、より入っていける曲になれば嬉しいです。

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作曲、プロデュースからエンジニアリングまで、曲が出来るまでの全ての工程をなんとなくそしてぼんやりとこなす人。ジャンルはポップス、ロックからダンスミュージックまでなんでもやります。最近はすっかりハウスの活動が中心になってマス。
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